TABOO (2/9)
いつものように男だらけのむさ苦しい部室でダラダラ着替えをしていた時、
俺はあることに気がついた。
「丸井先輩に借りたマンガ、教室に忘れてきた」
ケーキ屋の紙袋に入った単行本5冊。
明日まで置きっぱなしにして、もしなくしたりしたら大変だ。
「…お疲れっした!」
慌てて準備を済ませ部室を飛び出た。
「……っ」
校舎が閉まるまであと18分…ってとこ。
階段を駆け上がり、2年D組の教室へと急ぐ。
「っ…はぁ…はぁ…――あ」
そこにたどり着くと、それが見えてホッとした。
目当ての紙袋は俺の机の上にちゃんと置かれたまま。
良かった。
「…!?」
そして、中に入ってびっくり。
そこには俺以外の別の人影があった。
「あ…赤也だ」
それが誰かを確認してまたびっくり。
俺にいつもの笑顔でごく当たり前のように手を振る、
1番後ろの席で何やら大量の書類と格闘していたようすのその子。
「……葉月?」
俺が世界でいちばん、大好きな女の子。
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