未だ後頭部をさすり続けている彼はキョトンとした顔で私を見ていた。
そして真っ青な私とすぐそこに落下している小石を交互に見ると、納得したように「ああ。」と頷いた。
「すると、犯人は貴女でしたか。」
「ご、ごごめんなさいっ。悪気はなくて、ああ当てる気もこれっぽっちもなくて…っ、たまたま足に当たったら思いの外吹っ飛んじゃって…!」
「はは…、そんなに怖がらないでくださいよ。ぼく、怒ってないですから。」
彼はそう言ってぎこちなく笑みを浮かべる。
え、何だろう。
もしかしてやっぱり怒ってるんじゃないか、なんて考えが湧き出たら頭の中でぐるぐるしてもう止まらない。
「あああのっ!」
「は、はい!」
「今からお時間ありますか?!」
「…へ?」
テンパった頭のまま必死になって、お詫びに何か奢らせてくれ、という旨を伝えると、彼は少しだけ考えてから「じゃ、お言葉に甘えて。」と言った。
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