「霖之助お兄ちゃん!」
ばーん、と扉を開いて勢いよく飛び込んできた彼女は腕いっぱいに花を抱えていた。彼女は真っ直ぐに僕のデスクに駆け寄り、そのままその花を置いた。
「ちょっとだけ、ここに置かしてねっ」
「あ、ああ」
そのまま彼女は商品の棚に駆け寄り、ひとつを掴んで戻ってくる。それは加工した植物で編んだ籠だった。彼女はデスクの上の花をその籠に入れていく。それから懐を探って何かをゴトリと置いた。
「おだい!…だめ?」
「…ふむ」
それは何か複雑な機械だった。用途は分からないが、きっと外から流れ着いたものだろう。彼女は幻想郷を自由に歩き回っては、こういうものを拾い集めるのが好きだった。
「いいよ」
「やったー!」
両手を挙げて喜びを表した彼女は、籠から一輪の花を抜き取って目の前に置いた。
「おれい!ね!」
バイバーイ!手を振って店を飛び出していく彼女の小さい背中を眺めながら、その一輪をそっと飾ってみた。