少女は語る。


目と目が合った瞬間、恋に落ちたのだと。






「貴様は誰だ!!」
「シガンシナ区出身!#名前1#・#ミョウジ#です!」
そう答えたのは俺達と同じくシガンシナ出身の少女だった。別に仲良くはなかったが、顔は知っている程度。そういえば、アルミンとはよく喋っていたような。キース教官が、#名前1#に顔を近付けて怒鳴る。
「ここに何をしにきた!」
「50m級にもう一度逢うためです!」
そうだよな。俺達をこんな目に遭わせたあいつらを駆逐したいよな。一気に親近感が湧く。
「逢ってどうする!」
だから、駆逐するに決まって、
「え…っ、そ、それは…」
えっ?なんでそこで赤くなるんだよ。何で急に俯いた?キース教官もちょっと困ってんじゃねぇか。
「言ってみろ!」
「あ、…えっと、」
そうだ言え!あいつらを駆逐すると!
#名前1#が大きく息を吸って、よく通る声を放った。

「こ、告白します…!!」


………は?


「貴様…何を言っている…?」


わああ、言っちゃった!言っちゃった!と真っ赤な顔を両手でパタパタ扇ぐ#名前1#を見下ろすキース教官の顔が酷いことになっている。いや、なんかもう酷いことに。この場にいる人間の殆どが多分同じ顔をしているんだろう。

「5年前のあの日、私は彼に出逢いました。美しい瞳、逞しい身体、口元に浮かべた不敵な笑み…。まさに運命だと思いました。彼が、私の運命の王子であると、直感したんです。彼のことを考えるだけで身体が火照って夜も眠れません。あの大きな手に触れたらと考えるだけでときめきが止まらないんです。最近では毎晩夢にも出て来るんです。身体的なギャップはあれど私の愛は揺るぎません。まあ、巨人には生殖器がないとのことなので、付き合うようになってからのことを考えるとちょっと…でもその点については彼と話し合って解決していきます。あ、ちなみに結婚を前提にしたお付き合いを申し込むつもりです。本当なら彼からのプロポーズだと嬉しいんですけれど、どうも彼は恥ずかしがり屋というか、草食系っぽいかんじがしたので私からでも全然構わないんです。結婚式には皆さんお呼びします。キース教官も是非いらっしゃって下さい。あ、勿論巨人は倒します。私が彼に辿り着き、彼に釣り合う女になるためには必要不可欠なプロセスだと思うので。それから、もしも彼が私を受け入れてくれなかった場合は、「おい誰かこいつ止めろ!!!!」


やばいこいつイカレてやがる。












あの後#名前1#はあの芋女と一緒に走らされていたが、わけがわからないという顔をしていた。正直こっちがわけわからない。夕飯が終わった頃、あいつらまだ走ってんのか、なんて思ってたら誰かの話し声が聞こえた。そっちを向けば、金髪の…確かライナーが背の高いベル?ベルトルト?なんかそんなかんじの名前だった。うん。そいつの腕を掴んで引き留めていた。ベルトルトの手にはパンと水筒が握られている。
「ベルトルト、いい加減にしろ」
「ライナーこそ、邪魔しないでよ」
ギリギリと睨み合う二人。喧嘩?あいつら仲良さそうだったのに。少し間を置いてから、ベルトルトが口を開く。
「彼女が僕の運命の人なんだ」
「だから違うって」
「違わない。彼女は僕を愛してくれている。それが痛いほど伝わってくる。僕も彼女を愛している。彼女だってそれがわかっているはずなんだ」
「だけどあのときとは見た目だって違…」
「見た目なんて僕達にとっては大した問題じゃないよ。ねぇ、ライナー。チャンスをくれよ。もし、彼女が今の僕を受け入れてくれなかったら、諦めるから」
「本当だな?」
「うん」
ライナーがはぁ、と溜め息を吐きベルトルトがごめんねと笑った。そうして話が纏まったのか、二人は並んでどこかへ行ってしまった。
「…なんだったんだ?」
「エレン」
「ん?なんだ、ミカサか」
「探した」
「悪い」






三日後、#名前1#とベルトルトが付き合いはじめたと、アルミンから聞いた。













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