「砂隠れとうちゃーく!」
「うわっ!砂がっ…!」
「目がぁああ!!目がぁああ!!!」
「身体中ジャリジャリしてる早くシャワー浴びたいシャワー浴びたいシャワー浴びたい。」





●雑魚忍者




突然ですが、私達は今風の国にある砂隠れの里に来ています。

事の発端は例によって例の如く、オッサンである。

「砂隠れ行くぞ!」

三日前、満面の笑みでオッサンがそう宣言した。普通に殺意が湧いた。何言ってんだオッサンとクナイを持ち出したハツ君にビビりながらオッサンは説明をする。
何でも、もうすぐ合同の中忍認定試験があるらしく、今年は木ノ葉隠れが会場なんだとか。私達三人はそのお手伝いらしい。成る程。意味が分からん。

「ていうか普通に考えて下忍ですらない僕らが中忍選抜する側っておかしくないですか?」
「ぜんっっぜんおかしくない!」

オッサンの主張はこうだ。下忍(候補)でありながら、中忍以上の仕事を間近に見れる機会は滅多にないし、寧ろ特別待遇。しかも今回の仕事で上手く立ち回ることが出来れば、昇格も夢じゃないとかなんとか云々、と。

「でもだからってわざわざ俺らが砂隠れまでこなくったってよー」
「まあそう言うなって、ハツ」
「目…目薬…!!」
「はい、#名前1#ちゃん」
「ありがとうコウキ君愛してる」

コウキ君が手渡してくれた目薬を差してパチパチと瞬きをする。涙みたいに流れる液体と一緒に、砂が流れていった。…気がするだけ。

「それにしても3日って長かったなー」

ハツ君がしみじみと言う。激しく同意だ。木ノ葉隠れを出てからすでに3日経っているわけだが、ここまでの道のりはそれはもう過酷なものだった。火の国の範囲内はまだいい。緑があるし。だがしかし風の国、特に砂隠れ方面には広大な砂漠地帯が広がっているため、進みにくいことこの上なかった。あと野宿もし辛かったし。岩場はすごく寝にくかった。ハツ君は自分の髪の毛でハンモック作ったり、繭みたいにくるまったりしてたけど。一回寝袋状のそれで一緒に寝るかと誘われたけど、丁重にお断りさせていただいた。結局いつも朝起きるとコウキ君が腕枕してくれてて本当に申し訳ないというかなんというか。優しさの塊みたいな人だよ、コウキ君は。

「おらー、お前らもたもたすんな!さっさと風影様のとこ行くぞー!」

相変わらず一人だけハイなオッサンが私達の背をバシバシと叩く。うぜえ。隣を歩くハツ君がイライラした声で「三回死ね」と呟いていて、珍しくコウキ君も「ハゲろハゲろハゲろ」と毒を吐いていたので、私も便乗して「オッサンに一生恋人ができませんように」と呪詛っておいた。

風影邸はもう目の前である。















「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -