「どこでソレを学んだ…、」
幼い日の記憶だった。
私がまだパダワンだった頃。
マスター・ウィンドゥが酷く恐ろしい人だと感じていた頃。
「答えろ!」
その日のマスターは特に怖かった。浅黒い肌の腕が、私の肩を強く掴んだ。
「ジュヨーを誰から学んだ!?」
やめてマスターごめんなさいごめんなさい私ただマスターに喜んで欲しかっただけなんだよ褒めて欲しかっただけなんだよジギルは何も悪くないんだよごめんなさいごめんなさいごめんなさい。
恐れてはいけない。
驕ってはいけない。
怒ってはいけない。
ないない尽くしの修行の中で、私は確かに暗黒面を見た。
***
「#名前1#さん、明日バルバッドへの船が出るよ。」
「そうですか。わざわざありがとうございます。」
手を合わせて礼をすれば、宿屋の主人は人の良い笑みを浮かべて「いや、いいんだよいいんだよ。」と言った。
私はもう一度頭を下げてから、港へ向かう。
バルバッド行きの船の船長は、私が同乗するのを快く承諾してくれた。
ただ、当日は王様も一緒らしく、もてなしはできないとのこと。
勿論それは全然構わないので、宜しくお願いしますと言って港を後にした。
その足で向かうのは国の少し外れの岩場。
フォースを操って気配を消しながらフードを深く被り、波間に見える岩を飛び移って崖の下の方にある深いひび割れの中に入る。
人、一人分の隙間を通り抜けるとそこには大きく広がった空間と、その中央には私のスタースピーダーがあった。
「R2-D7。」
そう呼び掛ければスピーダーの影から見慣れたR2ユニットがピコピコ返事をしながら現れる。
寂しかったか?よしよし、とそのつるりとしたボディを撫でると、D7は嬉しそうに身体を揺らした。
「D7、明日から暫くこの国を離れようと思うんだけど、お前にスピーダーを任せても構わないかい?」
任せろと言わんばかりに頷くD7に礼を言ってもう一度撫でる。
機械音痴の私のためにと、アナキンが特別にカスタムしてくれたこのアンドロイドはとても優秀な子だった。
不時着により壊れたスピーダーを、私の代わりに一生懸命直してくれる。
それでも足りない部品を、この発展途上の星で手に入れるために、私はこのシンドリアを拠点として、手先が器用な職人を探しているのだ。
先日も小さな国に良い腕の職人が居ると聞いて向かったのだけれど、そこは既に滅びていて、完全な無駄足だった。
「次は、収穫があると良いね。」
呟いた声は、岩肌に滲んで消えていった。
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