「今日は修行するぞ!」
「担当上忍替えて欲しい。」
「右に同じ。」
「右に同じ。」
●雑魚忍者下忍候補とかいうのになってから、私達は毎日のように任務をこなしていた。
まぁ、任務とは言ってもDランクの中でも下の下、お使いとか子守とか、落とし物探しとかそんなものばかり。
しかも正規の下忍じゃないからとか何とか言って、報酬は何故か貰えない。
つまりタダ働き。最悪だ。
でもまぁ、ハツ君とコウキ君と一緒に過ごすのは楽しいので、そこは感謝だ。
だがしかし突然のこれだよ。
もうこのオッサンの考えが分からない。
「制限時間は丸一日!ただひたすらオジサンから逃げて下さい!捕まったらゲームオーバー!あと、見つかっても応戦して逃げるのはアリです!」
「…ちなみに見付かったら?」
「オジサン特製の特訓メニューをやってもらいます!」
「ハツ!#名前1#ちゃん逃げよう!」
最近わかったことだが、このオッサンは腐っても上忍で、実力がある。
言動はバカっぽくても、決めたことはしっかりと実行するし、させる。
ニヤリと笑ったオッサンに嫌なものを感じ取ったコウキ君がパッと私とハツ君の手を取って走り出す。
私はコウキ君の手を握り返し、一緒に地面を蹴った。
「…で、此処まで逃げてきたわけだけれども。」
ハツ君が、肩で息をしながら口を開いた。
シルバーのオールバックが眩しいです。
「どうする?」
「前にも言ったけど、僕らじゃあのオッサンには勝てない。見付かったら終わりだから、バラバラに行動して発見率を下げた方が良いと思うな。」
「だね。」
「んじゃ、早速解さ…」
「…ハツ?」
不意にかけられた声に振り返ると、そこにはうちはサスケ君が立っていた。
後ろには春野サクラさんとうずまきナルト君、それから銀髪の怪しい人も居る。
ハツ君はうちは君の顔を見ると、おお!と嬉しそうに声を上げた。
「んだよサスケじゃーん!久し振り!髪切った?」
「いや、切ってねーけど。」
「だよな!」
「お前は相変わらず派手な頭だな。」
「つか大荷物じゃん。どっか行くわけ?」
「話聞け。」
確かに、うちは君達は皆荷物を背負っている。つまりあれか。
「外での任務?」
「ああ。」
「そうか。気を付けろよ。」
「分かってる。…で、お前らは何してんだ?」
「俺ら?んー…。」
ハツ君は私とコウキ君を見てからうちは君に向かってパチコンとウインクをした。
「ひっみっつ!」
「…死ね。」
「ほらハツ、行くよ。サスケ達も任務なんだから邪魔しちゃ駄目だよ。」
「ちぇー。またなー、サスケー。」
「任務頑張ってね、うちは君。」
「#名前1#お前サスケのことうちは君とか呼んでんの?!あんなアポ呼び捨てで十分だっつーの!ああでもやっぱ、」
「早く行け!」
「いやん!」
うちは君に足蹴にされたハツ君を引き摺ってその場を離れ、私達は今度こそ解散した。
走り去る男の子二人の背中を見送りながら、私も気配を消した。
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