「オジサン昨日ちゃんと『七時にアカデミー前』って言ったじゃん!何でまた誰もこないわけ?!オジサン寂しくてまた探しに来ちゃったよ!そしたらそしたでお前ら何だよ!何で真面目に修行とかしてんだよ!オジサンを仲間ハズレにしてそんなに楽しいの?!オジサンはお前らの担当上忍だよ?!オジサン本当に…」
「黙れオッサン。」
「帰れオッサン。」
「このオッサン。」
「ひどい!」
●雑魚忍者うわああん!と泣き崩れるオッサンを横目に、私達は額を突き合わせる。
「このオッサン本当にめんどくさいな。」
「どうする?」
「取り敢えずこのままじゃ修行の邪魔だし、適当に話聞いてさっさと帰ってもらおう。」
「「了解。」」
頷いて振り返り、コウキ君が口を開いた。
「で、何の用ですか?僕ら暇じゃないんで手短にお願いします。」
「ち、ちくしょう!でもオジサンめげないぞ!聞いてお驚け!今日はお前らに任務を持ってきた!」
「はぁ?」
褒めて褒めて!とばかりにこっちを見るオッサンに思わず溜め息が出る。
任務?なにそれ聞いてない。
っていうか昨日の下忍候補って本気だったんですね。
「っつーわけで、早速行くぞ!」
「俺ら修行で忙しいし、オッサン一人で行けば?」
「ダメダメ!折角貰ってきた任務なんだからキッチリパッキリ働くんだ!ほら!」
「うおっ?!」
「わあっ!」
「ちょ、!」
次の瞬間、オッサンは私達三人を抱えてケラケラと笑っていた。離せ離せと暴れるハツ君もしっかりホールド。
私はと言うとコウキ君と非常に顔が近くて何だか申し訳ないです。
「オジサンにしっかり掴まっとけよ!」
「無理だろ!」
オッサンはうははは!と笑って瞬身した。
「お前らの記念すべき初任務はズバリ!『芋掘りの手伝い』だ!」
「……。」
「あれ?リアクションは?」
こんな任務嫌だ!とか、芋掘りなんてやってられるか!とかさぁ!とオッサンは地面に座り込む私達に迫る。
嫌がる姿が見たいのか、アンタは。
「いやまあ…別に、僕らにはこれくらいが妥当ですし。」
「これで戦闘のある任務とかだったらそれこそ文句ありだったけどな。」
「それに、私お芋好きなんでノープロブレムですよ。」
「俺も俺もー。」
「芋掘りなんて久しぶりだしね。」
「…なんなんだよお前ら。」
オッサンは呆れたように溜め息を吐くと、着いてこい、と言って歩き出した。
案内されたのは依頼主の家で、にこやかに笑うそのお爺さんは私達を芋畑に案内してくれた。広い。
簡単に説明を受けると、オッサンは「じゃあ俺は仕事がちょっとあるから。」と言って消えた。
担当上忍の意味。
「ま、取り敢えず頑張るか。」
「終わったらおやつくれるらしいしね。」
「#名前1#ちゃん、虫とか平気。」
「まぁまぁかな。」
「日焼け止め要る?」
「ハツ君の女子力が高い。」
それから私達は黙々と作業に取り組み、二時間半かけて芋を全て掘り返した。
お疲れ様、と出されたお茶と羊羹を食べながら、のんびりと三人でくつろぐ。
「いやぁ、働いた働いた。」
「少し肩凝ったけどね。」
「コウキ君肩揉んであげようか?」
「本当?ありがとう。」
「#名前1#、次俺な!」
「はーい。」
それから一時間待ってみたがオッサンは帰ってこなかったので、結局私達だけでお爺さんに挨拶をしてから、家に帰った。
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