ゾンビ女と子世代の皆さん




「よくない。そうやって狭い価値観で物事を考えるのはよくないよマルフォイさん家のドラコ君。」#名前1#がそう言って笑った。今まではこんな風に彼女が僕らとマルフォイの間に入ることはなかったんだけれど、今日は違った。「しかもその思想が先代から押し付けられたものであればあるほど、君の脳は腐っていくんだ。何も、考えて、いないから。」そうだろう?と首を傾げる#名前1#がひどく不気味に見える。マルフォイは忌々しそうに「穢れた血め、」と吐き捨てた。あははは!と#名前1#が笑う。「ほら!君はまたそんなことを言うんだ。マルフォイさん家のドラコ君。君は一体穢れた血をどうしたいの?視界から消えてほしいの?魔法界から去ってほしいの?それとも全員殺したいの?」大広間にいる人間の視線はすべて二人に釘付けだった。「ねえ、どうなの?」「ち、近付くな!」一歩踏み出した#名前1#に、マルフォイが杖を取り出す。思わず僕らが「危ない!」と言えば、#名前1#はこっちを向いて微笑んだ。「君は穢れた血が嫌い。私は穢れた血。ほら、ねえ、目の前に穢れた血がいるんだよ?その杖の一振りで、穢れた血を一人消せるんだ。ああ、なんて素晴らしい!」#名前1#は後退りするマルフォイの腕を掴んで杖ごと自分に引き寄せる。「さあ、よーく狙って。」私の頭を、首を、心臓を。準々に杖先を移動させていく#名前1#。マルフォイはただでさえ青白い顔をさらに青ざめさせてされるがままになっている。「さあ、唱えてドラコ・マルフォイ。」「あ……、」マルフォイの唇が開く。やめろ!そう叫ぼうとした瞬間、破裂音と共に#名前1#の頭が吹き飛んだ。何が起きたか分からなかった。ただ、頭のなくなった#名前1#の身体がゆっくりと倒れていくのが見えた。誰も、動かない。いや、動けないのだろうか。ドサリという鈍い音と共に#名前1#の身体が床に叩きつけられ、誰かが悲鳴を上げた。「きゃぁあああああああ!!!!」それが皮切りになって、大広間はたちまち絶叫で充満した。辺りに飛び散ったのは赤色。床に広がっていくその液体の中で、#名前1#の頭がゴロゴロころがって僕の足に当たった。濁ったガラス玉のような瞳が、僕を見上げてくる。彼女口端から泡混じりの血液が零れ落ちた。「う…っ、」胃から何かがせり上がってくる感覚。口を両手で覆って堪える。視界の隅でハーマイオニーが崩れ落ちるのを真っ青な顔をしたロンが慌てて支えた。マルフォイは取り落とした杖を拾うこともなく、じわじわと広がる赤を唯茫然自失して見つめていた。強い血のにおいに後退りしようと動かした足が#名前1#の頭に当たる。ゴロンと呑気に転がったそれの後に引かれる真っ赤な線。「#名前1#……ぁ……嘘だろ…っ!」誰かが泣き叫んだ。「人殺しぃぃい…っっ!!」誰かが泣き叫んだ。誰もかもが泣いて、叫ぶ。そして、その中に、微かな笑い声が混じる。「ふふ…」「…え?」足元から聞こえるそれは、次第に大きくなっていく。「うふふ……あはははは…!!!」#名前1#だ。身体をなくした#名前1#の頭が、ケタケタと楽しそうに笑っていた。大理石の床、広がる赤、悲鳴、笑い声。「あはははは!!ねぇねぇ今どんな気持ち?ねぇ!!!!」#名前1#の声に、マルフォイがへたり込む。血が、ローブに沁みていく。ああ、夢か、これは。こんな悪夢、早く醒めてくれ。騒ぎを聞きつけた先生達が来るまであと10秒。