先日例の廃屋に忍び込んでいた人の内の二人が同じクラスの人であることが発覚した。確かタチ…なんとか君と、ナナ…なんとか君。女の子みたいな名前だった記憶はあるが覚えてない。
なんでも昨日の今日でまたどっかに侵入したらしく、再び呼び出しを食らっていた。だから許可を取れとあれほど私が心の中で言ってあげたというのに。
「えーと、曉君はHRが終わったら私の所に来てくださいね」
「………」
女だっつの。
周りがクスクス笑うのが聞こえた。ちくしょう。HRが終わるて同時に担任であるアマちゃん先生の所へ行くと、先生は「あらやだ!」とおばさんくさいリアクションをしてくださった。
「ヒビキさんは女の子だったのね!名前でてっきり男の子だと思ってたわ」
「…先生、間違えるの三回目です」
「ごっ、ごめんなさい」
それで、何の用ですか?と訊ねれば、アマちゃん先生は思い出したように口を開いた。
「ええと、曉さんが近くの廃墟に行ったって聞いて」
「え、私あの人達と違ってちゃんと許可取ってますよ?」
「そうなんだけど、女の子なんだから夜に一人で出歩いたりしたら危ないから気を付けてちょうだいね。先生心配だわ」
「先生のその発言が死亡フラグです」
「えっ?」
「なんでもないです」
わかりました、気を付けます、とだけ返して背を向ける。アマちゃん先生良い人なんだけど本当にああいう不用意な発言は止めて欲しい。だいたいさっきみたいな心配されて、大丈夫ですよーなんて返した日には不審者とのエンカウント率が跳ね上がるのが相場と決まっている。
「あー…やだやだ」
今夜もあそこに行くってのに縁起が悪い。
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