体育館は普通の入学式みたいに椅子が並べられていた。誰かが、やっぱり普通の入学式なんじゃないか、なんて言っていて、私も一瞬そうじゃないかって思った。


あいつが、出てくるまでは。



「オーイ、全員集まったー?それじゃあ、そろそろ始めよっか!」



そう言いながら壇上に飛び出してきたのは、



「え…?ヌイグルミ…?」


「ヌイグルミじゃないよ!ボクはモノクマだよ!キミ達の…この学園の…学園長なのだッ!」



そう主張するソイツはしかしながら完全にヌイグルミにしか見えない。どこからどう見ても、白と黒のクマのヌイグルミ。



「ヨロシクねッ!」


「う…うわわわ…ヌイグルミが喋ったぁぁぁ!!」



ラジコンなんだかよくわからないけれど、そいつは目の前で動いて、喋っていた。それはあまりにも意味不明な光景。



「進行も押してるし、先進めちゃうよ!御静粛に…えー、ではではっ!」



起立、礼!
オマエラ、おはようございます!



「おはようございますっ!」


「お、おはようございます…?」



モノクマに合わせて礼をしたのは、石丸君と私だけだった。



「言わなくて…いいわよ…」



腐川さんそんな目で見ないで。



「では、これより記念すべき入学式を執り行いたいと思います!まず最初に、これから始まるオマエラの学園生活について一言…。えー、オマエラのような才能溢れる高校生は、"世界の希望"に他なりません!」



それは違う、と私は心の中で否定する。
だって、私は、



「そんな素晴らしい希望を保護する為、オマエラには…"この学園内だけ"で、共同生活を送ってもらいます!みんな、仲良く秩序を守って暮らすようにね!」




……は?



目の前の景色が、一気に極彩色を纏って見えた。









  






「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -