私の記憶が正しければ、私は今年高校3年生になるハズだ。その証拠に入試問題だって多少覚えているし、クラスメートの顔も思い出せるし、学校行事で横浜に行ったこともちゃんと記憶にある。
じゃあ、何で新入生?
希望ヶ峰学園に転入するにあたって渡された書類にも、私が入るのは『(78期)三年生』と書かれていた。覚えている。
もしかして間違えた?
苗木君に手を掴まれて咄嗟に付いて来てしまったけれど、それがそもそもいけなかったのかもしれない。いや、でもここに来るまでに誰にも会わなかったし、あのまま一人でウロウロしているよりは良かったはずだ。
いや、でもなぁ…
「曉さん?」
「うわっ?!」
急に肩をたたかれてビクッとする。バッと振り返ったら苗木君だった。
「な…なに?」
「いや、ボーっとしてたからさ」
「なんだ…びっくりした…」
「ご、ごめん」
「いいよいいよ」
眉を下げる苗木君に手をヒラヒラ振って笑いかけると、苗木君もへにゃりとした笑みを浮かべた。可愛い。
思わず気が緩んだその時だった。
突然、それは始まったのだった。
キーンコーン…カーンコーン…
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