次の5人は女の子ばかりだった。
赤いジャージの元気な女の子は『超高校級の水泳選手』である朝比奈葵さん。よろしくねっ、と握手してくれた朝比奈さんには悪いけど、その大きな胸にばかり目がいってしまった。
頬を染めながら挨拶してくれたのは『超高校級のプログラマー』不二咲千尋ちゃん。えへへ、と笑ったりごめんなさい、と目尻に涙をためる彼女はどっからどうみても女の子なんだけど、何か違和感があった。強いて言うなら声、かな。まぁ気にすることでもないんだろうけど。
薄紫色の長い髪をしたクールな少女は霧切響子ちゃん。彼女は自分が『超高校級の』何であるか教えてくれなくて、苗木君も困った顔をしていた。
ピンク色の髪のギャルは『超高校級のギャル』である江ノ島盾子ちゃん。よく雑誌のモデルとかをしていて、友達が可愛いと言っていたのを思い出す。
さっきからちょいちょい私をビビらせていた不良君は大和田紋土というらしい。なんでも彼は『超高校級の暴走族』らしく、彼に下手なことは言えないと思った。それは苗木君も同じらしく、笑顔が少し引きつっていた。
最後の4人所に行こうとした苗木君だったが、ふと私の足が止まるのに合わせて立ち止まった。
「どうしたの?」
「こ、怖い…」
誰が、って勿論あの男子の誰よりもガタイが言い女の子が、だ。何アレ何で腕組んで仁王立ちしてんの?何あの筋肉。ひぃぃ。しかしそんな私の腕を、苗木君がガッツリと掴んで引っ張る。無理!無理だってば!
結論から言うと、さくらちゃんは天使でした。『超高校級の格闘家』である大神さくらちゃんは、苗木君にこそ筋肉がどうのと言っていたが、私に対してはよろしくな、と握手してくれた。握りつぶすまいとするその握手の力加減から滲み出る彼女の優しさに、私の良い人レーダーが反応した。
反対に十神白夜君は怖かった。『超高校級の御曹司』である十神君から放たれるあっち行けオーラに心が折れそうだった。
葉隠康比呂君は『超高校級の占い師』で、3ダブりしているらしく二十歳なのだとか。ヤバい私より年上なんだけど。彼の言う色々が気になって仕方ない。
最後はあのゴスロリツインドリルの女の子で名前が、えっと…セレスティア・ルーデンベルグとか確かそんなカンジのだった。彼女は『超高校級のギャンブラー』で、明らかに日本人だと思ったけど私はそれを飲み込んだ。苗木君は素直に突っ込んでいた。やっぱり苗木君はちょっと馬鹿だ。
「これで一通り終わった、かな?」
「うん」
苗木君の言葉に頷くと、横から「おい」と声がかかった。十神君だ。
「まだだ。その女の自己紹介が済んでいないぞ」
「女って…私?」
「お前以外に誰が居る?」
はっ、と馬鹿にするように笑う十神君。やっぱ君怖いよ。しかし彼のせいで皆の視線がこっちを向いている。ああ、逃げられないパターンだ。いや、別に逃げる気なんてないけど。思わず苗木君を見上げると、ボクも聞きたいなと言われてしまった。っていうか私苗木君を頼りすぎだな。反省。
「えーと、はじめまして。曉ヒビキです。一応『超高校級の保険委員』らしいです、はい。」
「一応?」
「自分では自覚なくって。急にここの学園長にスカウトされて、突然転入することになったから…」
「つまり、一種のシンデレラガールというわけですな!」
「じゃあじゃあ!怪我とかしたら曉ちゃんに言えば良いんだねっ?」
「う、うーん。それは…どうだろうか。」
「一体どっちなんだべ!」
葉隠君がツッコんでくれたけれど、私は苦笑いで返すことしかできなかった。
背の高い男子超怖い。
ナエギクンタスケテ。
← →