苗木君に連れられて玄関ホールへの扉をくぐると、何故か人がいっぱい居た。入り口近くに居た不良っぽい男子が口を開く。



「オメーらも…ここの新入生か…?」


「じゃあ…キミ達も…!?」


「うん。今日、希望ヶ峰学園に入学する予定の…新入生だよ。」



苗木君の言葉に、背の低いミルクティー色の髪の女の子が答える。っていうか、…うん?新入生?



「これで16人ですか…ハンパな気もしなくはないですが、これで一応揃いましたかね…」



太っていて眼鏡を掛けた…こう言っちゃ失礼かもだけど、いかにも典型的なオタクってカンジの男子がそう言うと、周りの人も何人か頷く。


つまりこういうことか。


ここに揃っている15人は希望ヶ峰学園の新入生で、玄関ホールに集合したと。ついでに言ってしまえば、私も新入生の一人だと勘違いされていると。


流石に選ばれた"超高校級"のメンバーなだけあって、こっちを見る彼らからはどことなく威圧感に似たものを感じる。



「えっと、あの…はじめまして…苗木誠って言います…。」



苗木君が恐る恐る自己紹介をする。取り敢えずここは彼らと同期であろう苗木君に任せて私は黙っていることにしよう。



「色々あって、いつの間にか寝ちゃってて…それで遅れちゃって……」


「え?オメー達もそうなんか?」


「とすると、ますます妙ですわね」


「異常だ…これは間違いなく異常事態宣言発令ですぞ!」


「あ、あの…どういう事?よく状況を把握できていないんだけど…」



次々交わされる言葉に苗木君が首を傾げると、白っぽい学ランを着た男子が大きな声で割り込んで来る。



「ちょっと待ちたまえ!その前にだ!」



聞きたまえっ!と彼は苗木君に向かって指を突き付ける。



「苗木くんッ!遅刻とはけしからんじゃないか!8時集合と知らされてあったはずだろう!入学初日に遅れるなど言語道断!学校側に報告の上、厳正なる処罰を…」


「アンタ、何言ってんの…?しょうがないじゃん、こんな状況なんだからさ…」



真面目な性格なんだろうその彼が熱く云々語っていると、今度はギャル系の女の子が口を挟んでそれを中断させる。するとその隣に立っていた赤いジャージ姿の女の子が「そーだ!」と言って手を打った。



「それより、改めて自己紹介しない!?遅れてきたクラスメイトくん達の為にもさ!」



…やっぱり勘違いされてる。


あの、と口を開こうとしたが、その瞬間後ろから大きな声が飛んでくる。




「…自己紹介だぁ?んな事やってる場合じゃねーだろ!!」


「ひっ」



ふ、不良だ…!ヤンキーだ!怖い!



「ですが、問題について話し合う前に、お互いの素性はわかっていたほうがよろしいでしょう。」



なんて呼んだらいいのかわからないままでは話し合いも出来ない、とゴスロリを着たツインドリルの少女が言うと、最初の小柄な女の子が同意して頷く。



「じゃあ、まず最初に自己紹介って事でいいですか?話し合いは、その後という事で…」



黒髪ロングヘアの美少女がそう言うと、苗木君は困ったような表情をしながらも頷いた。












 






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