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01
そもそも俺は剣道を続けるつもりはなかった。
中学時代は剣道部だったが進学と同時に本格的に仕事を始めることになっていて部活に入る余裕は無いと分かっていたからだ。

しかし、殆どの剣道部員だった中学生は高校生になっても剣道部員だ。
ましてや一応主将だった俺が剣道を続けない筈が無い、と俺は5月の部活登録からまだ一ヶ月もあるのに入学早々無理矢理顧問に練習に連れて来られた。




「あの俺、剣道続けるつもり無いんスけど、」

「何冗談言ってるんだ。ほら行くぞ!」

「いや、だからホント…」

この教師、人の話を全く聞きやしねえ。
おまけにいくら俺が部活やらないって言っても冗談だと思ってやがる。

「うちの高校は此処数年個人は二人程は良いとこまで行ってるんだが、団体が奮わなくってな。」

「はぁ」

「詰まりは人材不足なんだよ。だが君が入ったことで今年は結果がだせるかもしれん。」

「だから俺部活は」

「ほら、あそこ」と教師が指差す方を見れば部員たちに指示をしている奴がいる。「あれが主将の倉本だ。去年は個人で都大会のベスト8に入った」まさに硬派な剣道少年って感じだ。「おい!倉本!」って呼ぶのかよ!「先生、どうかしましたか?」

「ほらこいつ江古田中の北条だ。」

「えっ江古田ですか!?」

「しかも去年の主将。今年は帝丹期待のルーキーだ!」

「え、いや、ちょっと。」

ハッハッハじゃねーよ。
なんだこの先公。頭ぶち抜くぞコラ。

「でも何で帝丹に?」

「そりゃあ、この歴史ある剣道部に入る為に決まってるだろう!さぁ、思う存分見学してくれ。」

「じゃあ、北条、だっけ?こっち。」








…と、結局その日は押し切られて見学したけどやっぱりやる気になれなくて途中で帰ったんだけど次の日から主将のしつこい勧誘が始まった。

「なぁ北条くん、本当に剣道辞めるのかい?勿体ない!」

「道場には通ってます。」

「なら、部活もやろうよ!」

ここ一週間、毎日のように教室に来てはこの話。
もう何度もこの人が来たせいでクラスメートまで話を聞いて部活に入れようとする始末。本当まじで勘弁してくれ。


「部活やらないって決めて江古田のスポーツ推薦蹴って帝丹に入ったんですからやりませんよ。」
「推薦ってもしかしてスカウトあったの!?」
「はい。」

「更に勿体ない!なんで部活入らないのさ!」

はぁ、この人予想以上にしつこい。普通もうこの辺りで諦めるだろ。教室から見てる野次馬も【北条くん大分苛ついてない?】とか言ってんじゃん。察しろよ。

「家庭の事情ですよ。家の手伝いしないといけないんです。時間在りません。」

「そうか…。今日はその家の手伝いはある?」

「え?無いですけど…」

「だったら今日は来れるな。」

はい?

「今日だけでも来い。おい!笠原!こいつ今日絶対連れて来いよ!」

「うっす!」


ええー



「何時になったら諦めてくれるんスか?」
「えー今のところ諦める予定ないけど?」

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