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02
「はぁっはぁっジンもっウォッカも、まさか俺が3分で此処まで来れるなんって思ってなかっただろ。ゲッホッゴッホ」

「おいおい大丈夫か?」

「大丈夫じゃねぇよ!てめぇふざけんなよウォッカ。何あの情報?せっかく早起きしたのに議員さんが起きるの遅せえよ
遅刻したらどうしてくれんだコノヤロー」

……理不尽な。これ以上気を立たせてもしょうがないから黙っておくがこれじゃ八つ当たりだ。

「そもそも別にわざわざ朝からやる必要無なかっただろ」

「今日から合宿だから朝しか時間取れなかった」

俺だって【普段は普通の男子高校生。だがその正体は謎の組織のスナイパー】なんていう中二じみた生活してるから忙しいの。え、中二?わかんない?中二病の事だよ。えーあーだからーなんて言うか…
まぁとにかく大変なんだよ。こう見えても

「で、合宿って何だ?」

「部活の合宿だよ。剣道部。"今年は個人だけじゃなくて団体にも力が入れれる"って顧問の気合い入ってるらしいんだよねー。俺は一年だから知らないけどさ。そうだ、そういう訳で帰るまで仕事入れられても出来ないから。」

「はぁ!?たっく、スティンガーそうゆう事は早く言えよ」「ごめん。」

「………」

「いや、本当に悪いと思ってるんだよ!ただマジで言い忘れてたというか…」


「うるせぇ、騒ぐな。」

「ジン済みませんでした!」

「早く降りろ。」

「え、もう着いたの?ありがと!じゃあ」

「スティンガー、お前何故米花駅に居ることが分かった?」

「ん、あれはたまたま携帯から選挙の演説とバスの扉が閉まる音が聞こえたからだよ。俺が仕事終わったのをそんな早くに知ってるって事は近くに居たって事だし、近くで二つの音が一緒に聞けるのは米花駅だけだ。」
俺の携帯古いから周りの音とか入りまくりな訳よ。機種変したくてしょうがない。

「多分最近出掛ける頻度とか帰る時間が不安定だったから怪しいと思われたんだろ?最近大会が近付いて来たし、友達付き合いもあって忙しいだけだからさ。どうせキャンティ達だろ?言っといてよ、心配する必要ねぇって。」
あと嫌だけどバーボンって可能性もあるな。嫌だけど。

じゃあな。サンキュー。

「…どうするんですかい、兄貴」

「フッ分かってるだろ。殺さねぇ。」
事実ジンが拓真を殺す気なんて無かったのだ。あいつからあのお方に報告があったから一応確認しなければならなかっただけであって、ジンは拓真が裏切ることはまず無いと思っている。
拓真もジンとウォッカには弁解しようとはしなかった。

「スティンガーの奴、あれで意外と頭が切れるから疑われるんだ」

ウォッカの独り言を聞きながら思う

―――あいつが此処以外で生きていける訳が無いのだから、と。


井の中の蛙のような、

     篭の中の鳥のような







「遅いぞ北条!」

「部長!済みませんでした!!」

「はよ、拓真が遅刻とか珍しいな。どうしたんだ?」

「おう一樹、寝過ごした」

「お前馬鹿だろ」

「北条、もう少しでバス来るから荷物持って来い。ついでに鍵閉めて来い。」

「はい!」

「てゆーか、なにそれ」

「ん、ロッカーに置いてたジャージ洗って持って来た。ついでに置いて来る」

「うわ、そんなに置いてたのかよ」

「お前のよりかきれいだっての」


 外の世界なんて知る筈もなく
(綺麗なだけの世界なんて知る筈もなく)

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