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週末でもこの時間帯はまだ人が少なく、雨が降りそうでも、快晴でもない至極普通の天気の日に空を見上げる人は殆どいない。
つまり、此処周辺で一番高いビルの屋上でライフルのスコープ越しに向かいのオフィスビルを覗き込んでいたとしても見つかる可能性はほぼゼロだ。



「んー、もうちょい右。そうそう…そう!おーけー。ちょっとこっち見て…はい!いただきまーす……っと。お仕事終了!お疲れ様でした!」

なーんつって

俺しか居ないのにね、何言ってんだか。
こんな所居てもしょうがないし、さっさと帰るか。弾はもう入って無いから分解して鞄にしまって掃除してよし、
今の時刻は……って

「嘘だろ!?」

部活にぎりぎり間に合うか合わないかの時間だ。

急げ!!

非常階段を急いで駆け降りる。
もうこの際、監視カメラには写って無いんだし、落ち着いて行動とかどうでもいい。このビルは高校生の遊び場だから朝から遊んでる俺みたいな奴はごまんと居る。警察がこの中から北条拓真を見つけ出して更に容疑者にするなんてまず無理だ。

案の定、ビルを出るのは笑えるくらい簡単だった。だけどどう考えても間に合わない。うわ、これ近道したら間に合う?間に合わないでしょ。車なら間に合うけど走ってたら確実にアウトだ。あー、バイク欲しい。

遅刻覚悟で走り始めたら調度着信音が鳴った。はぁ?今電話とか何?嫌がらせ?
「はい!もしもし?」
若干声が苛立っているのはしょうがない。こんなときに電話してくるやつが悪い。

「ご苦労だった。スティンガー」

「あ、ジン?あぁ無事完了した。そうだ、ジン今どこに居る?」

「…お前が知る必要は無い。」

「必要あるの!お願いだからさ、」

「何故今殺しをしたばかりの奴をわざわざ迎えに行かねばならない。」

「人の話は最後まで聞けって!議員さん起きるの10分遅かったから部活遅れそうなんだって!」

「組織には何の関係も無い。」

「そんな事言わないでさ!お願いします!今米花駅か?10分以内に行くから!頼む!頼むってば!」

「…3分だ。」

「え、ちょ3分だけ!?って切られた!」
しかも舌打ちされたし!


くっそ!

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