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月曜の朝、毎日の習慣であるランニングを済ませるとポストに入っている朝刊を出して家にはいる。

シャワーを浴びたあと、髪を拭きながら新聞を広げた。
普段は新聞なんて読まないけど今日だけは何故か気になった。

「っかしいなー」

一面に載っていたのは工藤新一。だけどそこには“高校生探偵工藤新一またしても事件解決!!”の見出ししかなくて、工藤新一が死んだことの確認が出来ない。

公表しないだけならいいけどいくら探偵と言えどただの高校生だ。そこまでするとは思えない。

「まさか、まだ生きてる…とか?」

そうだとしたら、薬はまだ完成していないのに計画だけばれて、今水面下で捜査されてるってことだよな。

「流石にそれはまずいって」

俺、あの時目ぇ合ったんだよ…。覚えられてるってことは、まあ無いか。そしたら何のための帽子だよって感じだし。

「取り敢えず、学校行って工藤新一を探すか」

んで、もし学校来てたら悪いけど今度はバーン!とやらせて貰お。てゆーか、生きてるんだったら早く始末しないとまずいって。ジンやウォッカはともかく俺みたいな下っ端なんて簡単に首が跳ぶ。それもリアルに。冗談抜きでマジで死ぬ。

…そういえば、工藤って毛利先輩とデートで来てたんだよな。毛利先輩は先に帰したのか?うわ、デートの途中で抜け出すなんて俺でもそんな酷いことしないぞ
先に帰してなかったとしてまさか工藤の死体とか見付けたりしてないよな?な、いよ…な…?
あー俺の馬鹿!!
毛利先輩のことちゃんと考えて死体の処分しとくんだった!そしたら工藤が死んだか確認出来てたのに!!

ネクタイを絞めながら目についた使い捨てカメラ。工藤新一が使っていた、取引現場を押さえている写真と工藤新一と毛利先輩の写真が入っている。このカメラが俺の部屋に一生置かれることになるのかどうかはわからないけど現像されることはまずないだろう。

「毛利先輩にはばれたくないな」

いや、他の人にもばれちゃいけないんだけどね。



学校に着くと、前にエ藤が事件を解決した時と同じ様に校門に他校の女子が集まっていた。本当早起きだよな。
エ藤新一はまだ来ていないようだ。
彼女たちには悪いけど、来ない方が身のためなんだよね。


結局その日、エ藤新一は学校に来なかった____________________________________________________




「毛利先輩、この週の日曜なんですけど」
「………」
「毛利先輩?」
「…え?あ!ごめんね、なんだった?」

毛利先輩は最近うわの空だ。
部の毛利先輩と同じクラスの先輩が聞いた話によると、毛利先輩は一人でトロピカルランドから帰って、しかもあれから二ヶ月たった今でも毛利先輩にも連絡がないらしい。

「この週にうちで練習試合がしたいんで武道場貸して頂いていいですか?」
「そうだね、その週なら大丈夫だけどここは使わせて欲しいな」
「はい。じゃあ来月はこれで。…毛利先輩
大丈夫、じゃあないですよね。すみません…」
「嫌だ、ごめんね。北条くんにまで心配かけちゃって」

謝る毛利先輩だけど、毛利先輩が俺に謝る必要が無いのは俺が一番知っている。なのに毛利先輩に“心配しています”とでも言ってるかのような素振りなんかして、自分でも分かっている。
こんなの、茶番だ。

心配してないわけじゃない。むしろ工藤新一の死亡が確認出来ない今、毛利先輩の身が心配だったりする。

この様子じゃ工藤新一を匿っていることは無いだろうけど、工藤新一に近い人間だ。もし、工藤が連絡なんか取ったりしたら、

俺は、

確実に、

工藤だけじゃなくて、毛利先輩も


「あいつのことだから連絡もしないでどっかで事件の推理してるのよ!」

心配でしょうがない癖に無理矢理“心配しなくても大丈夫!”なんて顔をしてごまかす毛利先輩に俺がとるべき姿勢ってなんなんだろう。

取り敢えず

「そうですよ、きっと。大丈夫です」

毛利先輩を元気付ける為だと言って笑って返す俺は自分が思っている以上に不誠実な人間だと思った。



ただ真っすぐ君を見ていたいだけなのに、君と僕は直線で結べない

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