「黒帯でスタイルのいい空手部員?毛利のことか?」
「へぇ、毛利さんっていうんですか!彼氏とか、いるんですかね?」
部室に急いで戻ると既に悪魔はリサーチ開始している。
どんな早さだ。もう名前まで仕入れてやがるマジで悪魔。
「おい、笠原!なにやってんだよ」
「何って、お前のための情報収集だろ?」
「だから、そんなんじゃねえっつってんだろ」
だめだ。こいつは暴走すると止まらないらしい。
大体俺のためとか言ったら、俺が毛利先輩のこと気になってるのばれるだろ。
「お、北条は毛利のこと好きなわけ?」
「だから、違いますって!」
「照れるな、照れるな。あいつモテるからな。惚れてもしかたないさ」
わらわらと増えていく先輩たち。
ほら、もうやだこの人達。どんだけ暇なんだよ。
完全に遊ばれそうじゃねえか。
すると急にその内の一人が俺の肩に手を乗せて言った。
「北条、悪いことは言わないから毛利は止めた方が良いぞ」
「?止めたほうが良いって、毛利先輩彼氏いるんすか?」
ちょっとサタンだかデーモンだか知らねえけど笠原!まだ聞くな!もう少し後でもいいだろ!?
「彼氏はいないけどさ、北条はまだ毛利のこと知らないんだよ。あいつはよく見てたら分かる。可愛くない」
「は?普通に毛利可愛くね?」
「こいつ、前に外で毛利が空手技使うところ見たんだとよ。」
「だって嫌だろ。女の方が力強いって」
その内に俺と笠原を置いて二年の先輩達が毛利談義を始めだした。
「・・・まあ、それはあるな。でも毛利って性格いいし、格闘技やってる割にはゴツく無いしさ、細いし全然ありだろ」
「空手ならそんなゴツい奴多く無くね?」
「でもなんか筋肉質じゃん」
「他の部の奴らより脚きれいだって」
「でも確かに性格良い」
段々と毛利先輩の話から三年まで混じって格闘技やってる女の話はありか、なしかの話にまで飛躍し出した。ちなみに俺は・・・って、なに言おうとしてんだ俺。
「てゆーか毛利は胸がでかい」
一人の先輩の一声で急に静かになった先輩たちとデーモンこと笠原。
ちょっとアンタずっと黙ってると思ってたら何言い出すんだよ。アンタだけは違うと信じてたのにこの一言。裏切りだ、酷過ぎる。
「確かに、でかい」
「やっぱでかいよな」
「あのウエストの細さであのサイズは実は意外といない」
そして賛同していくこいつ等。お前ら毛利先輩のこと意外と見てんじゃねーか。
てゆうか見すぎ。
毛利先輩のことそんな目で見てる先輩達ってまじないわ。
何だよ笠原。何だよその目?
ちげーよ!俺は違う!それだけは絶対違う。そこは絶対訂正しろ!
・・・いや、確かにでかいと思ったけど!