今日まで俺は毛利先輩にこの間借りたタオルを返せずにいた。
早く返したかったんだけど毛利先輩のクラスを知らなかったし、探そうにも俺は高校生活になれるのに手一杯だった。
そして今日、ようやく空手部と練習が重なった。
「毛利先輩!」
「あら、北条君。どうしたの?」
「これ、こないだ借りたタオルです。ありがとうございました。」
「あぁ!はい」
「遅くなってすみませんでした。本当はもっと早く返したかったんですけど、クラスとか知らなかったんで。」
「そんな、全然良いのに」
毛利先輩は綺麗なだけじゃなくて優しい人だと思う。
俺の周りにいる女の人でこんなに優しい人滅多にいない。これがキャンティだったらタコ殴りにされてる気がするし、志保さんなんてタオル、貸してくれただろうか?多分、毛利先輩は明美さんレベルに優しい。
「あの、毛利せ」
「おい!北条!」
俺はせっかく早めに練習に来たんだと毛利先輩と会話を続けるべく話を展開させようとしたところで笠原が大声で俺を呼んだから毛利先輩が行ってしまった。ちくしょう、何なんだあいつ、悪魔か。
いくら話しを続けようとしたところで相手がいないのでは意味が無い。悪魔の呼びかけに答えてそちらへ向かったあと、腹いせに悪魔を攻撃する。悪魔退治だ。
「いでででで、何すんだよ。止めろって。マジで痛いからそれ」
「苦しめ。てゆうかお前まじでこそ何してんだよ」
「は?何のこと?」
「・・・・・・もういい」
おそらくこの悪魔に効く攻撃技も呪文も存在しない。
俺が何をしたところでこいつはこいつだ。
「あ、もしかしてさっきの人といい感じのトコロだった?」
「っ、うるせえよ。馬鹿野郎」
まじ何なのこいつ。
ほんとねえわ。
いい感じになんてなる雰囲気まるで無かったし。ちくしょう
「へーえ?お前あの人狙ってんの?」
「だから別にそんなんじゃないっつてんだろ」
「イヤイヤ、否定しなくてもいいじゃないか。俺たち親友だろ!協力だってしてやるからな」
・・・俺がいつこいつと親友になったんだ。
「そんなんじゃ無いから協力とかいらねえよ」
「まあまあ、そう言うなって。あの人先輩だろ?じゃあ同じ学年の人に聞いたほうが良いな」
そういうと悪魔は部室に向かった。
・・・・・・ってまさか、先輩達に言いふらすつもりか!?
「おい!待て笠原!」