チーズサンドを作ってだすとそれなりには機嫌も戻ったみたいだけどやっぱり理由は聞いてくるわけで、
「そもそも何で忘れたんだよ?」
「部活やってた。」
「はぁ?剣道やめるんじゃないのかよ。」
「やっぱりさ、続けることにした。」
「・・・スティンガー。まあお前なかなかの剣道馬鹿だから仕方ねえか。」
やっぱり呆れられたけど、さすがカルバトスは俺のこと分かってくれる。剣道馬鹿は少しムカつくけど。
「それで、どんな女だ?」
・・・・は?
「な、何言ってんだよ?女はカンケーねえだろ。」
「男が一度決めた事を変えるのは女が絡んだ時だけだ。」
何だよその持論。
だけど間違ってないのがムカつく。
にやにやしながらこっちを見るカルバトスは俺に向かって「ほら、吐いちまえよ。」って言ってくる。
「どんなって・・・只の先輩だよ。」
「ガキの癖に年上好きか。やるなあ。」
「るっせ。」
「で、その先輩に"入ったら良いのに。"とか何とか言われて入ることにしたわけか。」
裏声で先輩の真似をしてからかってくる。くそ、新しい玩具とでも思ってるだろ。
「変な声出すなよ気持ち悪い。」
「いいねぇ、青春だ。懐かしい。」
一口ビールを飲んでしみじみ言うカルバトスはいつもより親父くさい。
「ま、おっさんには昔の話だよ。」
「は?おっさん舐めんなよ。おっさんだって恋はするんだ。」
「恋ってあんたが?」
「おう、」
カルバトスはベルモットにお熱だってキャンティやコルンが言ってるけど
「まさかさ、ベルモットに本気とか言わないよな?」
「なんだ、お前までベルモットは止めとけとか言うんじゃないだろうな?」
カルバドスがまるで睨んでるみたいに俺をじっと見る。
こんな風に見られた事なんてあっただろうか。
目には怒りの色だけじゃなくて何か含んでいる。
キャンティはベルモットの事を避けてるし、多分、嫌いなんだろうと思う。
ベルモットは組織の中でも敬遠される奴だ。
だから多分この色にはお前だけでも分かってくれって言ってるようなそんなのが含まれているんだと思う。
「いや、分かんない。俺、一緒に仕事とかしたことないし。でもさ、キャンティ達からは良いこと聞かないし、あの方のお気に入りらしいし、大丈夫なのかってこと。」
「何言ってんだ。大丈夫なのか、とかそういう心配ならいらねえから。そうかお前、ベルモットと仕事したことねえのか可哀想に。一度一緒に作業すればわかるさ。あいつは良い女だよ。」
「ふーん」
「まあガキには分からねえか。仕方ない。」
「ガキじゃねえよ!」