ハリポタ(長編) | ナノ
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あ、ドラコだ。
え、早くない?しかもスリザリンとかそのまんま過ぎて面白く無い。
ちらりとこちらを見た気がしたので適当に手を振っておく。
うわ、こっち来た。来こないでよ。

「グラップとゴイルはいいの?」

「あぁ、あいつらは・・・・」

「あーごめん・・・」

夕食が待ちきれないのかすごい顔で貧乏ゆすりしてる。
お前らどんだけ腹減ってんだよ。怖いよ。机がったがったしてるよ。
まわりどん引いてんじゃん。

----ポッター・ハリー!

え、ポッター・ハリー?

「ねぇドラコ、今ポッターって言った?」

「そうさ。あそこのくしゃくしゃ頭のモヤシがあのハリー・ポッターさ!」

「何あなた?もう喧嘩したの?」

「あいつがこの僕を侮辱したんだ。いけ好かないポッターめ」

「あら、侮辱されたの?」

いくら英雄ハリー・ポッターでも初対面の人を侮辱するのはいただけない。しかもドラコが相手だと尚更だ。中々我が儘で憎たらしい奴だがもう何年も一緒暮らしている可愛い再従兄弟なのだ。なんかムカつくなぁハリー・ポッター。

「まぁあんな奴にはウィーズリーがお似合いだよ。」

「…ウィーズリー家ってまだ子供がいたのね」

「あぁ。熟れすぎたトマトみたいな赤毛であんな汚いペットを飼ってるような家はウィーズリーだけだろうからね。」

「………。」

分かってしまった。
この子が純血主義者特有の話し方でしかもウィーズリーの子の前でハリー・ポッターに友達は選べとか言ったに違いない。確かにそれは当たり前だけどその常識はスリザリンにしか通じない。

おそらく魔法界には居なかったであろうハリー・ポッターには、しかも先にウィーズリーの子と仲良くなっていたのなら確実にドラコが悪者で認識されてる。

実際一般的に見てドラコが悪いのは確かだが彼にとってこの行動は極当たり前。非常に常識的なのだ。
実際にこういうのを目の当たりにすると純血主義者の教育がいかに一般とは掛け離れているかを実感して背筋が冷える。

しかし今この子に「そういうことは言っちゃいけない、今の時代、純血主義は理解されないものなのよ。」なんて言葉は彼にはまるで理解出来ないだろうし、それどころかこの子が十年間かけて培った常識と彼自身のアイデンティティを全て否定することになるから絶対に言わないけど、ホグワーツにいる間だけでも少しこの子の教育に手を出すべきか本気で悩む。

まだ続いてるドラコのうだうだ話は流してハリー・ポッターを眺める。

ポッターは"…は嫌だ"と帽子に何かを必死に伝えているようだ。
長い沈黙、得に上級生は固唾を飲んで見入っている。
他の生徒よりも明らかに長い…

そして

「グリフィンドール!」

一瞬の沈黙の後、グリフィンドールから「ハリー・ポッターを取った!」と聞こえて他の寮の生徒は思いっ切り落胆している。私も少しがっかりだ。
まぁ分かってたけど、分かってたけどさ、英雄はいつだってグリフィンドールだよ。
ああ残念だ。スリザリンなら構い倒してやったのに、よりにもよってグリフィンドール……
ハリー・ポッターの寮が決まった後も組分けは続く。
今年の組分けはスリザリンで終わった。

その後の校長の二言三言は相変わらずおかしいが実際にこんな挨拶が出来る人はなかなか居ないからある意味尊敬する。

ドラコが初めて聞くダンブルドアの挨拶も校歌も鼻で笑っているのを見ると、彼がいくらホグワーツでマグル生まれと出会っても殆どのスリザリン生と同じ様に純血魔法族が唯一だなんて神話を信じて、魔法界という狭い世界しか知らないまま生きていく様子が簡単に想像出来て少し悲しいような虚しいような気持ちになってそれでいてほんの少しだけ恐ろしくなった。

Life is game.
(人生とはゲームだ)

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後書き
夢主は人前ではお嬢様口調を心掛けてるけど気が抜けると崩れる。
正直お嬢様口調って実際何か良く分からないから何と無くナルシッサの真似をしてるだけ。
ドラコは完全に子供扱い。

さあ幕は上がった
09/28/2010





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