ハリポタ(長編) | ナノ
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授業終了のベルが鳴ると同時に教室を出る。

「ちょっと待ってよ、レミ大丈夫?」

早足で廊下を歩く私を追いかけてきたサリーが私の前へ周り込んで聞く。

「ええ、大丈夫よ。…でも不快なことってあるでしょ?」
「…そうね。私はあなたがそう言われることが嫌いだって知っているけど、」

“ブラックの子”

ただそれだけの言葉だが、ロックハートの言葉の裏にあるものなんて簡単に読み取れる。

“ブラック家の隠し子騒動”が起きたのは今から四年前、私がホグワーツへ入学したときだった。

長男はアズカバン、次男は死亡。純血魔族として高い地位にあったブラック家は長い暗黒時代の中で更なる地位を築き上げ、その一つの時代の中に消え去った。

それが突然魔法界に現れたブラックの子供。
ただ同じ姓であるだけだというには無理があるほど強烈な地位のある姓。

その姓は多くの魔法使いを刺激する。そんなことは分かりきっている。ただ、あの教師を刺激したのはそこじゃない、もっと下世話な。

ブラックの近い縁者は隠し子であることは認めているが、誰の子かをはっきりと言ったことは一度もない。
それがまた憶測を呼び、一時期の新聞はレミ・ブラックの正体を暴こうとする記事で埋めつくされていた。

その事実があの目立ちたがり屋を刺激しないわけがない。

「あーあ、今年も駄目ね」

頭の中のイライラを清算してサリーに言えば、サリーはどう返したら良いのか戸惑っていた。
あ、勘違いしてる。

「勘違いしないでよね。私はブラックよ。この事実は変わらないし、変えたいなんて一度たりとも思ったこと無いわ。この名前に誇りを持っているもの。」

私を受け入れて、認めてくれたお祖母様やナルシッサさん、ルシウスさん達を誇りに思っている。彼らは私にとって大事な人達。
だから彼らが大事なものは大事にしたい。
あの人達が誇りを持っている家や血筋はあの人達が気が遠くなるほど長い魔法史の中で築きあげ、守ってきたものだ。
それを私に託してくれるのなら壊されることも汚されることも無い様に、どんなものよりも綺麗な形で守りたい。そう思っている。


「ゴシップ好きの邪推が嫌いなのよ。
あと勝手に正義を気取ってブラックやマルフォイは悪だと決め付けて言いがかりをつける酷いマグル贔屓達も嫌い。」
「そっか」




Man is a thinking reed.
(人間は考える葦である)




サリーと話をしながら食堂に向かっていると後ろからリックが走りよってきた。

「ブラック!さっきは助かった。サンキューな」
「私は災難だったんだけど?」
「あー、ごめん」

リックが悪びれない様子で言った。まあ私もそんなに怒ってないけど。

「でもどうしてあんなにアイツのこと知ってたんだ?」
「私、教科書は授業開始の前に一通り読んでるから」
「まじで!?ははっ、ハリーポッターに言ってやれよそれ。"授業の前に教科書は一通り読んでおくものだ"ってスネイプが喜ぶぞ、きっと」
「るっさい」 

その偉大なる思考の下に
13/09/2011






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