ハリポタ(長編) | ナノ
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煙突飛行粉を使って街に出てたらルシウスさんに付いてノクターン横丁を歩く。ふと、周りを見れば汚い身なりをして人間の生爪のような物を盆に載せている老婆が此方を覗いているし、その横には縮んだ生首が置いてある。
ドラコはなんだか嬉しそうにしているけど私にはどうも無理な場所だ。

ルシウスさんの目的の店に着くと其処はボージン・アンド・バークスと言うノクターン横丁で一番大きな店だった。

ルシウスさんは陳列の商品に何気なく目をやりながら、店の奥まで入ってカウンターのベルを押した。
その間にドラコは気味の悪い義眼に手を伸ばしていた。

「ドラコ、触らないで」

そんな物に触った手で家の物を触られたら嫌だ。
するとドラコはルシウスさんに向き直って
「なにかプレゼントを買ってくれるんじゃないの?」と言った。
「競技用の箒を買ってやると言ったんだ」ルシウスさんはカウンターを指でトントンと叩きながら言った。
「寮の選手に選ばれなきゃ、そんなの意味無いだろ?」
ドラコはすねて不機嫌な顔をした。
「ハリー・ポッターなんか、去年ニンバス2000を貰ったんだ」

出た。
ドラコの“ハリー・ポッターなんか”

「グリフィンドールの寮チームでプレー出来るように、ダンブルドアから特別許可も貰った。あいつ、そんなに上手くもないのに。単に有名だからなんだ……額にバカな傷があるから有名なんだ」
「あら、ポッターの飛行技術はかなり良いわよ」

ドラコはいじけた様にかがんで、髑髏の陳列棚をしげしげ眺めた。

「…どいつもこいつもハリーがかっこいいって思ってる。額に傷、手に箒の素敵なポッター――――」

「同じことをもう何十回と聞かされた」
ルシウスさんが押さえつけるような目でドラコを見た。
「しかし、言っておくが、ハリー・ポッターが好きではないような素振りを見せるのは、なんと言うか――賢明――ではないぞ。特に今は、大多数の者が彼を、闇の帝王を倒したヒーローとして扱っているのだから――。やぁ、ボージン君」
猫背の男が脂っこい髪を撫で付けながらカウンターの向こうに現れた。


私はハリー・ポッターのことは嫌いじゃない。むしろ割りと好意を持っている方だ。もし、チャンスがあるなら話してみたいし、あの髪を弄くりまわしてみたい。
チャンスは狙っているのだけど向こうはグリフィンドールだから中々機会が無いのよね。

それでも、このハリー・ポッターをまつり上げる様な雰囲気は好きじゃない。まるでハリーが嫌いな人間は悪者だとでも言いたい雰囲気は。ハリーだって人間なのだから、いくら英雄であっても好きになれない人もいるだろうに。そんな人は皆悪の道に進むのだろうか?
まあ、ドラコは別。幾らなんでも毛嫌いしすぎ。


「恐悦至極でございます――そして若様にブラック家のお嬢様まで――光栄でございます。手前どもに何か御用は?本日入荷したばかりのお品をお目にかけなければ。お値段の方は、お勉強させていただき……」

脂っこいボージンがこちらを向いたのでとりあえず微笑んでおく

「ボージン君、今日は買いに来たのではなく、売りに来たのだよ」
ルシウスさんが言うとボージンの顔からフッと笑いが薄らいだ。
「当然聞き及んでいると思うが、魔法省が、抜き打ちの立入調査を仕掛けることが多くなった」

そうか、立入の前に売ってしまうつもりなのか。

「私も少しばかりの――あー――物品を家に持っておるので、もし役所の訪問でも受けた場合、都合の悪い思いをするかもしれない……」

ボージンは鼻眼鏡を掛け、リストを読んだ。
「魔法省があなた様に迷惑をおかけするとは、考えられませんが、ねぇ、だんな様?」

ルシウスさんの口元がニヤリとした。

「まだ訪問はない。マルフォイ家の名前は、まだそれなりの尊厳を勝ち得ている。しかし、役所はとみに小うるさくなっている。マグル保護法制定の噂もある――あの虱ったかりの、マグルびいきのアーサー・ウィーズリーの馬鹿者が、糸を引いているに違いない――」

相変わらずルシウスさんはウィーズリー氏が嫌いみたいだ。たまたま会ったりしたときにはどうなるのだろう?

「――となれば、見て分かるように、これらの毒物の中には、一見その手のもののように見えるが――」
てゆうか、ルシウスさんは毒物なんて何に使うつもりだったのよ。

「あれを買ってくれる?」
ドラコがしなびた手を指差して、二人の会話を遮った。
なんでそれ!?いらないでしょ!?

「あぁ、『輝きの手』でございますね!」

ボージンはリストを放り出してドラコの方にせかせか駆け寄った。

「蝋燭を差し込んでいただきますと、手を持っている者だけにしか見えない明かりが点ります。泥棒、強盗には最高の味方にございまして。お坊ちゃまは、お目が高くていらっしゃる!」

泥棒って…

「ボージン、私の息子は泥棒、強盗よりはましなものになって欲しいが」

まったくもって同意です。
ルシウスさんが冷たく言うと慌てて、「とんでもない。そんなつもりでは。だんな様」と言った。

「ただし、この息子の成績が上がらないようなら」ルシウスさんの声が一段と冷たくなった。

「行き着く先は、せいぜいそんなところかもしれん」

「僕の責任じゃない」ドラコが言い返した
「先生がみんな贔屓するんだ。あのハーマイオニー・グレンジャーが――」

「私はむしろ、魔法使いの家系でもない小娘に、全科目の試験で負けているお前が、恥じ入ってしかるべきだと思うが」

ルシウスさんは入学する学校といい、今の発言といい、意外としっかりした目でドラコのことを見ている所が良いところだと思う。

ん?今、誰かの声がしたような…?
声のした方を探しているとドラコが近づいて来た。
「これに興味があるのかい?」
ドラコが豪華なオパールのネックレスの前に立てかけてある説明書を読んでニヤニヤした。

【ご注意――手を触れないこと 呪われたネックレス――これまでに十九人の持ち主のマグルの命を奪った】

「まさか。こんなもの絶対に女の子にプレゼントしないでよね」
ドラコは不満そうに向きを変え、ちょうど目の前にあるキャビネット棚に目を止めた。前に進み、取っ手を掴もうとすると

「決まりだ」
カウンターの前でルシウスさんが言った。「ドラコ、レミ行くぞ!」
良かった。これでこの薄気味悪い場所から帰れる。
「ボージン君、お邪魔しましたな。明日、館に方に取りに来てくれるだろうね」

帰り際、ドラコが触ろうとしたキャビネット棚が気になって振り返る。……思い過ごしか。





「私、ギャンボル・アンド・ジェイプスいたずら専門店へ行きたいのだけれど」

ノクターン横丁を抜けたときにそういうとルシウスさんとドラコが二人揃って変な顔をした。
「レミ、君、そんな所へ行きたいのかい?さっきの店に比べてあんな子供だましの店に?」
ドラコが馬鹿にしたような顔をして言って来た。
「あら、意外と面白いのよ。一緒に行かない?ルシウスさん、一時間後には戻るので待っていてください!」
ドラコの手を無理矢理取って連れて行く。

ルシウスは時間を潰す為に漏れ鍋に行った。

「おや、マルフォイさん。お久しぶりですね」
「トム。コーヒーをくれ」
「コーヒーですか?紅茶ではなく?」
「あぁ、紅茶は飲む気がしない。…朝から紅茶の飲み方といい、いたずら専門店などと…あいつそっくりだ」
「…?ああ、レミさんですか」
「何故分かった?」
「あなた達が休みに此処で集まった時にいつも彼女がいたずら専門店に行きたいと言っていましたからね」
顔だけ見れば面影などまるでないというのに
「いやはや、やはり親子は似るものですか…」
父親の顔で母親を真似しだすとは…なんと言ったら良いものか。


「ルシウスさん!此処にいらっしゃいましたか!」

11:00にマルフォイさんを漏れ鍋で見つけてついでに軽食を取った。
私はサンドイッチとカフェオレだったけど、ルシウスさんが珍しくコーヒーを飲んでいた。

そのあと漏れ鍋で少し休憩してから教科書を買いにフローリシュ・アンド・ブロッツ書店へ向かった。





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