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「ごめんなさいね。でも、なんだか最近息が詰まるでしょ?」
「お気になさらないで下さい。私も息抜きが出来て嬉しいんです」
学校から帰って来てからのマルフォイ家と言ったら酷かった。
駅に着いてナルシッサさんと久しぶりの再会を喜び合い、仕事を終えて帰って来たルシウスさんも含め美味しい料理を食べている迄は良かったのだが、そこから成績の話になって、スリザリンが寮杯を逃したこととドラコの成績が芳しく無かったことで空気が重くなった。
ものすごく悪いわけでは無い。だけどマルフォイ家の名前は重い。
「僕は悪くない。先生は皆ハリー・ポッターやハーマイオニー・グレンジャーばかり贔屓するんだ!」
ドラコは何回も同じ言い訳をし続けるし、ルシウスさんは魔法省の抜き打ち立ち入り検査が増えたことで苛々している。
まだうちに入ったことは無いが、どうやら裏でウィーズリー氏が関わっているらしく、機嫌が斜めどころか90°で下がっている。
そんな中で一番苦労しているのはドビーだろう。
父子の八つ当たりは増えるし、ピリピリした雰囲気を感じ取っていつもにも増して「ドビーは悪い子!ドビーは悪い子!」と自分を殴り続ける。この間なんてオーブンの蓋で両耳を挟んでいて流石に止めた。
そんな中でナルシッサさんとのお茶会は数少ない癒しだ。
お茶もお茶菓子も良い物を使っているだけあって美味しいし、何よりナルシッサさんはセンスが良い。
純血主義者の家と言うとなんだか陰鬱で悪趣味な物が多く飾ってあることが多いけど、ナルシッサさんの部屋は落ち着きが合って良いから勉強になる。
最初に見た魔法使いの部屋が彼女の部屋で本当に良かった。
グラップの家のパーティーに呼ばれたときは趣味の悪さに眩暈がした。もし、あの家に預けられたなら私は魔法界で暮らすのを拒否していただろう。
「こうしてお茶を飲むのは懐かしいわ、昔はお姉さま方とよくこうやってお茶をしたものだわ」
「そうですか。私は母とお茶をするのはこんな感じなのかと思っています」
「まあ、そう言ってくれると嬉しいわ。ドラコは本当に愛おしい子だけどこうしておしゃべりは出来ないじゃない?だから娘も欲しかったの」
「ふふ、私で良ければ何時でも話し相手をさせて頂きますわ」
「そうだ、ナルシッサさん。明日はルシウスさんが学用品を買うためにダイアゴン横丁へ連れて行って下さるそうです。なにか欲しいものはありますか?」
ルシウスさんは他にも用があるらしいのでついでに連れて行ってくれるようだ。
「そうね、本を一冊買って来てくださる?」
「何がいいですか?ギルデロイ・ロックハートの本が今の一番人気らしいですけど」
「レイチェル・アプリコットが良いわ。新作が出たそうだから。彼女の作品が好きなの」
レイチェル・アプリコットは著名な女流作家だ。
彼女の書く恋愛小説は女性に人気だ。
「彼女は私も図書館で読みました。彼女の書く恋愛はとてもいいですね」
「あら趣味が合うわね。本当の母子みたい」
「本当に」
私たちは互いに笑い合って昼を過ごした。
Afternoon rest
(束の間の安らぎ)
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後書き
序章です。
ナルシッサさんとは従兄弟姪になります。
仲良しです。
尊敬もしています。
穏やかな午後
14/05/2011
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