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いつも通りの静かな朝食が終わると、ぱたぱたぱたっと慌ただしい足音が僕に近付いて来る。

それをいつも通り気にせず席を立ち、広間をでる。すると慌てた足音は更に速度を速め僕を追いかける。

二階の教室へ行くための階段はこの時目的地と反対方向を向いている。階段が動き始めるのを待つ為に立ち止まるとようやく足音の持ち主は追い付くことが出来る。

全て彼女がこのホグワーツに入学してから始まった僕の日常。

そして彼女は息を切らせながら僕の名前を呼ぶのだ。

「れっレギュラス先輩!」
「…なんですか、名前」

この時振り向いた僕と名前の目が合うのは一瞬だけだ。彼女はすぐに顔を赤らめて目線を下げる。そしてもう一度顔を上げてから何気ない会話を始めるのだ。

「…………」
「…どうかしましたか?」
「…………」

いつもとは違い俯いたままの彼女にどうしたのかと頭の位置を彼女に合わせようと軽く腰を曲げると、不意に柔らかい感触が僕の頬に当たった。

気が付いた時には、名前は走り去っていた。いつも以上に顔が赤かった気がした。


「よっ、色男!」
「………何のつもりですか兄さん」
「別に可愛い後輩から熱いキスを受けとった弟を讃えに来ただけさ。なあ相棒」
「ああ、中々に可愛いらしいじゃないか。まあ僕のリリーにはまだ劣るけどね!」
「そうではなくて、後輩相手に何をしているんですか。余計なことを教えるのは止めて下さい」

ムカつく程の笑顔で僕の肩を叩いたこの兄が仕組んだことなのは分かりきっている。まったく子供に何を教えているんだ。


「その子供相手に満更でもないくせに」
「………」


まだ小さなヴィーナス


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