※なっちゃんがそうとうあれ
すきだからすきなひとを独占したいっていうのは人としてあたりまえの感情だとぼくはおもうんですけど、あれ、みんなはちがうの?そういう気持ちはだれしも持ちあわせているけどおまえはその気持ちが強すぎるおかしい狂ってるとみんなにいわれた。うそつきうそつきみんなうそつき。そうやって自分を正当化してきれいな世界に浸っていたいだけなんでしょうわかってる。ぼくはそんなものどうだっていい。まがまがしい感情もわきあがるどす黒いおもいもぜんぶかくさない。だってそれが、あいしてるって証明だから。ぼくがあらわす行動そのものが、翔ちゃんへの愛だって信じてる。だからぼくが翔ちゃんを殴るのもぜんぶ愛。刃物でその身を切り裂いたりするのもすべて愛。翔ちゃんの血はきれいなきれいな薔薇色で、その赤い液体が流れ出る様をみているとぼくはとても安心する。ああ翔ちゃんは生きてる。その赤い血が翔ちゃんの身体の中をめぐりつづけるかぎり、彼はぼくのそばで生きつづける。でもぼくがこんなことばっかりしてると翔ちゃんはいつか死んでしまう。それはいやだ。翔ちゃんはいつまでもぼくのそばで生きて。ずっと生きて。そうおもう反面、ぼくが翔ちゃんの命をにぎっているんだという事実にどうしようもなく興奮する。翔ちゃんが死んだらもうなにも心配することはないんだね。だれかとはなしてるすがたをみて燃えるような嫉妬心をいだいたり、いつかぼくの元から離れていって、ぼく以外のだれかのものになるんじゃないかとか、そういう心配をもうしなくてもいい。そう、翔ちゃんはかんぜんにぼくのものになる。いいなあそれ。もうこのままころしてしまおうかなあ。わらってくれないのはさみしいけど翔ちゃんならなんだっていい。死体でもあいしてる。どうしよう、ぼく、
「どうしよう翔ちゃん」
そうやってぐったりした翔ちゃんにたずねてみる。翔ちゃんは力なくいつもと変わりない言葉をはく、なんでこんなことするんだ?って。ぼくもその問いにいつもどおりに答える。翔ちゃんがすきだからあいしてるからねえなんでぼくっていう恋人がいるのにほかのひととおはなししたりするのねえなんでねえ答えて、って。そしたら翔ちゃんはいつもこう言うんだ、
「…なんでもなにも、」
俺たち恋人じゃないだろ、って。
愛など無かった
ぼくたちは恋人同士じゃないらしい。翔ちゃんのこの言葉でいつも気づく。あれでも翔ちゃんぼくにすきだって言ってくれたじゃないですか。ぼくがすきだって告白したときおれもっていって、あのときだよほらおもいだしてよ、ねえ。
(あれでもどうだっけ、)(あれはぼくのゆめ…?)(都合のいい妄想でできたゆめなのかもしれない)(まあどっちでもいいよね)(翔ちゃんがぼくをどうおもってようが関係ない)(だって翔ちゃんをしあわせにできるのは)(世界でただひとり)
そう、ぼくだけなんだから。
---------------- なっちゃんいったいどうしたの!(おい
20111212
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