少年Aは思春期真っ只中


「アーサー、入るよ」
「あ、おい、待て!!」
ガチャリと開いたドア、固まるアーサーとフランシス、過ぎた時間は戻らない、なかったことにはできない。
サンタさんがやってくる少し前のことだ。

「ドア開けたら寝具の上で一人下でも慰めてたあるか?」
「耀さん、けっこう明け透けだよね。まぁ、そのほうが、気が楽だったかもしれない」
「ヴェー、何の話ー?」
「お前が聞いていい話じゃありません」
お菓子あげるからルーイのとこにでも行ってなさい。フランシスは焼いたばかりのマドレーヌをフェリシアーノに手渡して、調理室から追い出した。放課後のこの部屋は、美食部しかいない。主なメンバーがわずかしかいないので、悩みを打ち明けやすい場所だった。たまに乱入してくるフェリシアーノは、自慢の料理でどうにかできた。
クリスマス用のパーティーフードの試作品は、なかなかのできだが、いまひとつ物足りなかった。椅子を用意してそれを食べながら、フランシスは耀に先日の一件を話していた。
「親しき仲にも礼儀ありって、こういうことだわ。親しいのかどうかわからないけど」
「結局?」
「何か、俺らしきマスコットとアーサーらしいマスコットで、なんか、遊んでた」
「趣味が変態に転じたあるね」
確かに、それは反応に困る。
ドアを開けたら、腐れ縁がベッドの上でナニをしてました。ドン引きしたけど、ちょっといたずら心が沸いて、手伝ってあげました。これだったら、よかった。あるいは可愛らしいぬいぐるみでおままごとをしていました、とか。
「あへん、手先は器用あるからな。そのマスコットもきっと自作あるよ」
あのアーサーが、そんなことをしていたなんて。あのセットのマスコットで、少女みたいな真似をしていたなんて。
「ちくしょう、かわいすぎるだろう!」
「お前の思考もだいぶぶっ飛んでるあるな! ここに菊がいなくて我は安心してるある」
「私を呼びましたか」
がらり。
「誰あるか、タイミングよくオタクを連れてきたやつは!」
「俺でぃ」
「あー、騒がしくなるあるぅ」
買い出しから帰ってきたサディクはエコバッグをテーブルに置いた。
偶然にサディクに連れられ入ってきた菊は、勘が働いたのか、フランシスの隣に座り始めた。ちゃっかり手にはメモ用紙とペンがある。仕方がない。耀は立ち上がり、菊に茶を淹れ始めた。いつもなら、お構い無く、の一言があるのだが、今は目の前のおもしろそうなネタの方が大事ならしい。かくして、フランシスは菊に質問責めにあうのだった。




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マリーゴールドを抱く少女

こねた行きでもよかったな、これ



 

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