仮装をしたら、準備完了!



今年もハロウィンがやってきた。ドイツやオーストリアの家に行って、とびきりおいしいお菓子をもらおう。そのためには準備をしなくてはいけない。スペインの家に行くであろう兄を放っておいて、イタリアはフランスの家に走った。
ノックをしてびっくり、出てきたのが家主ではなくイギリスだっからだ。
「お前なんかに渡す菓子はないんだからな!」
「ヴェ、はなからイギリスのお菓子なんか誰も期待してないよ!」
純粋さはときに最強の刃である。自分で話を振って落ち込んだイギリスを、フランスが地味に慰めていた。いつか期待される日も来るから、限りなく遠い未来だけれど、いやフランス、それは慰めになっていない。イギリスの菓子が美味しくないことは、世界的にも知れた話かもしれない。ちなみに書き手は初対面のネイティブスピーカーとの会話中において、イギリスのお菓子を食べてみたいと発言したところ、「やめておきなさい! おいしくないわよ!」と全力で答えられた。アメリカ人のオーバーリアクションととるべきか、真面目なニュアンスととるべきか、悩むところだ。
それはさておき、イタリアがフランスを訪れたのは、ハロウィンの準備をするためだ。ハンガリーのことも驚かしたかったので、今年はフランスに協力してもらうのだ。
「ということで、お兄さんはイタリアをどうにかしてかないからさ、イギリスはちょっとどっか行ってて」
まるでイギリス<イタリアなフランスを不満に思いながらも、イギリスはしぶしぶ外に出た。

この日のために、わざわざ日本から送ってもらったものがある。忙しくて来られないという日本の代わりに、フランスが着付けを手伝ってもらうのだ。もちろん、メイクも。
「しかし、さすが日本だよな。小道具も凝ってる」
「ヴェ、ドイツ、びっくりすると思う?」
「第一声は予想がつくけどな」
しかしイタリアにはわからない。

一方でドイツ宅でも、ハロウィンの準備は着々と進んでいた。一人でクーヘン作りに勤しんでいたところでオーストリアとハンガリーがやってきた。キッチンはオーストリアにとられ、部屋はハンガリーによって飾られ、ドイツは少々ふてくされていた。
「おい、ヴェスト、部屋の前に荷物、お前のか?」
「いいえ、私のです」
どたばたとリビングに駆け込んだプロイセンが、大きな荷物を抱えていた。ハンガリーのものらしいが、あまりいい予感はしない。ドイツは知らないふりをして、ソファーで読書を始めた。後ろでは兄とハンガリーが騒いでいて、オーストリアがいつもの調子で叱っていた。
一時間後、居間に現れたプロイセンとハンガリーを見て、ドイツは本を落とした。





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メランコリーは逃げ出した



 

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