典芬



「僕は戦います」
「……そか」
「止めてはくれないんですね」
「……ん」
「わかっていますよ、すみません。冗談ですよ」
「……んだな」
「スーさん?」
「おめぇも、大変だない」
「ふふ、それはスーさんも、同じじゃないですか」
しばらく、さよならですね。フィンランドは笑った。スウェーデンは笑えなかった。敵にはならない、しかし仲間にもならない。しばらく、しばらくはそういう状態が続くことになる。簡単には会えないし、頼ることもできない。またぎくしゃくとした仲になる。その事実が引っ掛からないわけではない。それでも二人は、立ち止まらなかった。
「いつになったら、戦わずにすむようになるんですかねぇ」
「……案外、すぐでねぇの?」
「そうだといいですね」
そんな日が来れば、いつだって、スウェーデンに迷わずに会えるかもしれない。また、フィンランドは笑った。しかし、その顔はすぐに引き締まった。
「僕はまた、スーさんに頼ろうとすると思います」
「…………」
「すべて終わるまでは、僕を甘やかさないでください」
「わかった。……フィン、」
「はい」
スウェーデンはフィンランドのむき出しの手をとった。白く冷たい手を両手で包んで、あたためようとした。フィンランドは目を丸くして、それから、ありがとうございます、と言った。緊張していた。スウェーデンと別れるこの戦争が、正直怖かった。
「ちゃんと、帰ってきますね。そうしたら、ターさんやノル君、アイス君たちとも、おいしくご飯が食べられるといいですね」
「さすけね」
「それまで待っていてください」
「ん、フィン、またな」
「えぇ、また。さようなら、スーさん」
手を離して、二人は背を向けた。





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確かに恋だった
伝えたい言葉ふたつ5題
4.笑って、待ってて

そしてフィンランドのロシアとスウェーデンの間での苦労が始まる。



 

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