学生服を脱がせて


あいつは制服姿が似合っている。よくあるブレザーだが、似合いすぎて格好良い。自分の立場から見ると、可愛い、か。とりあえず、あいつの制服姿は何やら特別な気がするのだ。しかし、制服を脱いだ姿も、色気があったりして。
教師として、邪な雑念が脳裏を過った。いけないいけない。これから授業があるのだ。苦いコーヒーを一気に飲んで、呂蒙は職員室を出た。

「花金って言うそうですよ。花の金曜日」
「ほぅ、なぜだ」
「それは、やっぱり、週末が楽しみだからじゃないですか」
今日一日頑張れば、週末は自由だ。本当は課題だってあるのにね。
金曜日の放課後は、陸遜が呂蒙の帰りを待って、車で帰る。おしゃべりをしながら、陸遜の家へ向かう。
今日はなぜか違った。
「今夜は家に誰もいないのです。泊めてもらえませんか」
広い家に一人は寂しいしな。冷静を装って、呂蒙はいいぞ、と言ってしまった。信号を曲がらずに、自宅に車を走らせた。

さすが委員長、準備がいいな。お泊まりセットは持ってきているらしい。お邪魔します、と礼儀正しい彼は、玄関で靴を揃えてから上がった。風呂を用意するから、と陸遜をリビングのソファに座らせて、呂蒙は浴室に消えた。
呂蒙がリビングに戻ると、陸遜がブレザーを脱ごうとしていた。それだけのことなのだ。後ろからそれを見ていただけで、何か、きた。
「呂蒙殿?」
「あ、あぁ……」
不自然だった。不自然さを隠せやしないかと、少し間を空けてソファの端に腰を下ろした。
「……呂蒙殿」
どすん、と軽い衝撃。白いシャツの陸遜がのし掛かってきた。顔が近い。吐息が顔にかかってしまいそうで、呂蒙は無意識に呼吸を押さえてしまった。そのまま、頬に唇が当たった。
「おい、陸遜、」
「呂蒙殿、隠せてないです」
何がだ! とは言えるはずもなかった。きっと、原因はすべて自分なのだと思う。
シャツの赤いリボンタイを外そうとした陸遜の手を呂蒙が制した。代わりにするりと引っ張った。簡単に外れたリボンタイはそのまま二人の足下に落ちていた。

やっぱり、呂蒙の予想は正しかった。翌朝、ベッドにて、呂蒙は髪をかき揚げてはため息を吐いていた。




-------------

色々30題其の1
楽譜。

友のB.Cl.担当ちゃんが金曜日になると99%の確率で花金連呼します



 

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -