タイトルはありません、ただ中学生みたいな話です



よく晴れた日だった。テレビの天気予報でも、キャスターの女性(秀吉様がうっひょう、とか仰って、おねね様がお仕置きなさった。いつもの光景だ)が全国的に晴天だと言っていた。あの番組の天気予報は信頼できるな。俺が言うと、左近は「あんたと違って素直でいい美人ですね」と返してきた。とりあえず腹が立ったので、扇子で殴った。軽く跳ね返されたのが、余計に腹が立った。それはもういい、思い出すと頭が痛い。とにかく、今日はいわゆるお出かけ日和なのだ。
正則は派手な格好(いつもどおり)をして朝からどこかに出掛けていった。そのまま帰ってこなくていいぞ、馬鹿。黒くて黒いやつと、白くて黒いやつも、仕事をほったらかして出掛けた。こいつらはもしかしたら、偵察か何かの仕事かもしれん。
「聞いておくれよ、三成! あの人ったら、半兵衛と官兵衛に直接ゴルフ場押さえに行かせたんだよぅ!」
前言撤回、あの二人も遊びだ。秀吉様については言わないでおく。俺か? 察せ。「天気がいいのに、テラスで読書ですかい、殿」左近、貴様、今、語尾に(笑)を付けただろう。ふん、次の給料を楽しみにしていろ。「中の人繋がりはやめてくださいよ、コアでわかりません」
ふん。俺には外に出て遊んでいる暇はないのだよ。「漫画の読書ですか(笑)」いちいちうるさいのだよ、少し黙っていろ。
そういうわけで、家の中は非常に静かだった。おねね様が家事に走り回る音が聞こえるくらいだ。一人忘れている気もするが、まぁ、知らん。

「ちょっと晩御飯の買い物に行ってくるよ。三成、お留守番、頼んだからね」
「はぁ、気をつけて行ってきてください」
「何か食べたいものはあるかい?」
「特に、ありません」
「うーん、困ったねぇ」
後ろで左近が何か言っていた気がするが、俺もおねね様も無視した。珍しく気が合った。
買いながら考えるね、とおねね様はスーパーに出掛けた。大手企業の社長が、一般家庭の主婦同様にスーパーで夕飯の買い物をしているのだ。これで狸の会社が倒産すれば、豊臣家も安泰だと俺は思う。
また静かになって、俺は読書を再開した。再開したと思ったら、階段を慌ただしく降りる音が響いた。
「三成、おねね様は!?」
そうだ、こいつを忘れていた。何があったか知らないが、家の中にいて、清正は息を切らしていた。訳がわからない。しばらくこいつの部屋に入っていないが、ダンベルやら何やらが散らかっているのだろうか。「普通に設計図とかありましたけど」横やりを入れるな、空気を読め、というかそれは普通ではないだろう。
「夕飯の買い物に行かれた。それがどうした」
「い、いや、何でもない」
変なやつだな。未だそわそわとして、俺のテラスから出ていかない。少々、目障りだ。

夕方、おねね様は帰ってきた。真っ先に玄関で出迎えたのは、清正だった。俺も玄関へ行くと、おねね様の代わりに正則が野菜が入った買い物袋(明るい山吹色のエコバッグだ、正則には不似合いだな)を持っていた。
「途中で正則を見かけてね。買い物を手伝ってくれたんだよ」
「たまたまっすよ、マジで」
「うん、正則はいい子だね。今夜は正則が好きなカレーにしてあげるね」
「ガチっすか! やりぃ!」
背伸びして正則の頭を撫でるおねね様に合わせて、やつも背を低くしていた。それより、撫でづらくはないのだろうか、あれは。左近は今日はうるさいため、清正に同意を求めようかと思った。やつは口を半開きにして、わずかに震えていた。気味の悪いやつだ。
そろそろ秀吉様(とキャディ二名)も帰宅するだろう。俺はリビングでテーブルの上を片付けた。先に清正がいたが、部屋には新聞が出たままで、やつが何もせずにソファーに沈んでいたことはよくわかった。
「俺、おねね様のカレー、ガチで好きなんで! 大盛りでお願いします!」
「お、俺も!」
俺は馬鹿二人に呆れるだけだった。確かに、おねね様の料理はうまいが。あんなに、張り合うものなのだろうか。

「帰ったぞー! お、今夜はカレーじゃな!」
「さすが秀吉様、鼻が利きますねぇ」
やっと帰ってきた秀吉様は顔が赤く、半兵衛がへらへらと支えていた。官兵衛はさらにやつれていた、気がしなくもない。








 

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