羽ばたく翼
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張飛が蛇矛を、関羽が青龍偃月刀を振り回す。一歩後ろで双剣を巧みに操りながら、劉備は今更ながらに、気づいた。そうだ、こいつら凄い実力者だった。この頃は常に二人と一緒にいたので、日常と化して忘れていた。改めて思うのは、この義弟二人がいてこその、この軍なのだ、と。劉備には、二人が必要不可欠な存在なのだ。
勝利をおさめたあとの、ささやかな宴会。みな酒に酔い、勝ちに酔い、楽しんでいる。
「兄さん、劉備の兄さん、ほら、飲んだ飲んだ!」
「翼徳よ、お前は飲みすぎだ」
一番年下ながら、一番酒に強い張飛は、まだまだ飲めるらしい。それをたしなめる関羽の絵は、もう見慣れたものだ。劉備は黙って、杯を傾けた。酒が喉を過ぎ、体は自然と熱くなる。しかし表情は変えない(変わらない)。主は堂々たれ。
「兄者、気分が良いのだな」
「ほんとだ、笑ってら」
義弟は誤魔化せなかった。
いずれは、私が天下を統べる。劉備の訴えに、二人は恭しく頭を下げた。




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放浪中。この頃はまだ孔明がいないので、二人は正常です。くす。





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