誰の為でもなく
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馬鹿か、貴様は。元就は元親を罵倒した。愛用の輪刀もなければ、動くことすらできない。そんな元就の武器となるものは、もはや言葉だけである。いくら罵られても、元親は困ったようにこめかみを掻くだけで、それがさらに元就をいらいらさせた。ずしり、と地が揺れる。元親の碇槍が突き刺さったのだ。 「だってよ、毛利も考えてみろよ。目の前で顔見知りが首跳ねられてそうになってたんだぜ? 助けねーの?」 「そんな状況まではいっていないぞ、でたらめを申すな」 敵に囲まれていた元就を、元就が助けに入った。今回は珍しく、毛利と長曽我部の共同戦線で、そのこと自体は、なんらおかしくはない。しかし、その後である。予想外にも敵兵の数が多く、二人とも窮地に陥った。四面楚歌状態になった。本末転倒とも、いえるのか。なんとかかんとか窮地を脱することができたのは、援軍大谷吉継のお陰で、元就にとって、屈辱以外の何でもない。 「おい、礼くらい、言えや。まぁ、強制はしないけれどよ」 すっかり上目線の元親に、元就は不意打ちの蹴りを食らわした。体格が違う。無理に動いたのも悪かった。ダメージは元就に加算、残念無念。 「貴様、まさか、我のために……」 「いや、偶然だ」 嘘でも肯定しろ、ちくしょー。 戦は勝利で終わる。それまで、本陣の元就様はまるで般若のごとく恐ろしかったです、ばい隆元。
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自分の文章は、こんな感じだと思うよ。
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