名前も知らない月曜日



「お……」
「あ……」
売店で、見知った顔と再会した。学科が違ったり、意図的に避けていたり、そのために久しぶりに会ったのだ。同じ大学の知り合いだからといって、いつも会うわけではない。
慶次と、同じ商品を取ろうとしたのは、半兵衛だった。久しぶり、と慶次が軽い挨拶をすると、半兵衛も同じことを言った。
このあと、暇はあるかい。誘ったのは、半兵衛のほうだった。珍しいこともあるものだ。慶次は心のなかで呟いた。そのまま、何も考えずに、了承してしまった。
食堂の二階は、弁当持参者用の場所である。そこの一番恥のテーブルを選んで、二人は向かい合うように座った。先ほど買ったウーロン茶とバタークッキーで、お喋りに花を咲かせようとした。
「そういや、秀吉はどうした」
いつもは半兵衛と一緒にいるであろう秀吉。今日は彼の姿が見えない。それが慶次には疑問だった。
「別に、僕だって、四六時中、秀吉といるわけじゃないよ」
何かあったのかな、と慶次は感づいた。人の感情には敏感な性質らしい。それが幸か不幸か、とにかく今に至る。元気ないな、なんて、聞くべきか否か、迷うところだ。半兵衛のことである。どうせ、なかなか人には言えないのだろうと思うのだ。心配している。なぜか、慶次は半兵衛を心配していた。本当に、なぜだ。自ら距離を置いていたというのに。結局、遠回しに聞いてみた。
「秀吉は、元気か?」
小さい声で、うん、と聞こえた。
「……明日の午後、そうだな、二時頃でいいだろ」
「何がだい?」
「また、ここに来い。待っているからさ」
慶次は半兵衛の意見なんて、聞いていなかった。今は、無理矢理でも、二人の時間が欲しかったのだ。理由? とくにない。半兵衛は困った素振りを見せながらも、楽しそうに微笑んだ。




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半兵衛、乙女化フラグ。そんな、ばかな。






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