一人で指切り日曜日



まず最初に、メールが届いた。
件名;ごめんなさい
本文;今日は、行けない
そして、ケータイの着信音が鳴った。
「……もしもし」
電話の向こうの彼女は、申し訳なさそうな声をしていた。けれど、どこか、安心したような声でもあった。何に安心しているのか、慶次には容易に予想できた。だから、彼はにこにこと声を発する。いつもの笑顔と態度で、優しく接する。
約束のキャンセルも気にしていないよ、構わないよ、と明るく答えた。切なくなる気持ちは、ひた隠しにして、彼女のために、嘘を吐いた。
また今度会おうね、と電話越しの彼女との約束。曖昧で不確かな約束は、きっと、守られない。これで、彼女とは最後なのだ。
いつもは言わない言葉を言った。
「さよなら」
通話時間、1分46秒。慶次の、彼女との「恋愛」が終わる。

「慶次じゃねーか」
気晴らしにやってきた公園で、偶然、政宗と幸村に会った。仲良く並ぶ二人を見ると、慶次も自然と笑顔になった。
暖かい日差し、木陰のベンチ、小さな噴水。実に平和だ。
「いやぁ、お熱いねぇ」
ただ正直に思ったことを言っただけなのだ。幸村は顔を赤くして、政宗は嬉しそうに顔をそらした。
人の幸せは、自分の幸せ。なんだか楽しくて、そしてどこか寂しい、そんな日曜日。



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