慌てふためく



珍しく幸村がしょんぼりしてるな、と話しかけてみた。予想しない言葉が返ってきた。
「片倉殿には勝てないのだろうか」

「え、なに、やきもち?」
「そ、そんなわけないだろう!」
「嘘つけぇ! 今のは誰が聞いても右目の旦那に嫉妬してるようにしか聞こえないって!」
はわわわわ。幸村の顔は戦装束もびっくりな赤さだ。こういうところが可愛いよね。幸村の拳をなんとか避けながら、佐助は笑っていた。政宗のものになってしまったことが残念で仕方がない。もったいないでしょー、はは。
少し落ち着いてきて、佐助の満面の笑みに気づいた幸村は、意気消沈したような拳をおさめた。畳に腰を下ろす様は、焚き火が消化されたようだ。
「お、俺は、政宗殿にいつもいられるわけじゃないから、」
「うん」
「その、信じていないわけでは、ないのだぞ」
「うん」
「ただ……」
「ただ?」
不安になるのだ、と消えてしまいそうな声で言った。
若いってイイねぇ、と茶化すように佐助が言った。反論しようとする幸村の唇を、佐助は手を当てて制した。からかってるわけではないのだ。何だかんだ言っても、佐助は幸村の味方で、いつだって彼を応援してくれていた。
「旦那はさ、どうしたいわけ?」
それはもう、ひとつしかない。ゆっくりと、幸村は言葉を紡ぐ。
「政宗殿に、会いたい」
即実行は竹田の流儀である。

まだまだ寒い奥州に、幸村は佐助とやって来た。
「よぅ、久しぶりだな、幸村。元気にしてたか」
「政宗殿、」
「ん?」
「某は貴殿を慕っている。それは、けっして、」
「一方通行なんかじゃない」
当たり前だろ、らしくないな、真田幸村。

「雪、溶けそう」
「雪掻きの手間が省けるな」




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特製瓦版二十九号井戸端bsr政宗ねたにたぎった結果
がんばれ、ゆっきー! あ、ユッキー呼びって公式だったのね(笑)






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