早起きは三文の徳 はじめに書いとくよ 慶半おちだ ------------ 今日は休日である。休日の学生寮は、心なしか人気が少なかったりもする。慶次などは寮を出て、昨日のうちにどこかへ泊まりに行ってしまった。友がいないからといって、家康は別に暇にはならなかった。 目の下に隈が出来ているかもしれない。眠いのに眠れない。そんな目を擦りながら、家康はベッドの中、すぐ隣に目を向けた。すやすやと眠っている彼こそ、三成だった。 「三成と、同室、同衾、」 ぼーっとする頭で呟いて、そのまま沸騰しかけた。何もわるいことはしていない。ただ緊張して、いつものようには寝れなかった。それゆえの、早起きだった。 そっと手を伸ばして、彼の銀の髪に触れてみた。意外にも、やわらかく、さらさらだ。 「……手を、退けろ、家康」 「起きていたのか」 「貴様に、起こされたのだ」 むくりと胴を起こす三成の頬は赤かった。白い肌だと、赤面も分かりやすいものなのか。 たまの早起きもいいものだと思った。 「……もう一眠りするか」 「勝手にしろ」 休日の二度寝もまた、一興。 その頃、慶次は半兵衛といた。 「家康、ちゃんとやってるかな」 「大丈夫だろう、三成だって子供じゃないよ」 「お、半兵衛の母性か」 「……今すぐここに伏せたまえ」 三成のいる場所に慶次がいて、いつもと違う風景を、半兵衛も楽しんでいた。 ----------- 色々30題其の18 楽譜。 ← |