僕は君に言いたかった しつこい、と言われるのは覚悟のうえだ。今日もせっせと勉強に勤しむ三成のもとに、家康は足を運ぶ。 図書館にて、三成は個室に入って撒こうとしたが、家康は半歩後ろから着いてきた。だめだ、これ。撒くのは諦めて、黙って本を開いた。頭に入ってくれるだろうか。向かいに座った家康もだいぶ薄い本(よく見ればスポーツ雑誌)を開いていたが、読んでいる様子はない。意識は三成に向いていて、どこかそわそわとして落ち着きがない。三成まで集中力が欠けてきた。二次災害のようなものだった。しおりをしてぱたんと本を閉じる。家康がまっすぐにこっちを見ていた。何か言いたそうに、口をぱくぱくとしている。まるで酸素不足の金魚のようではないか。笑えなかった。 「邪魔だ、去ね」 さもなくば、斬滅する。すまん、と謝って、家康は出ていくものだと思っていた。違った。 「あのな、三成」 「聞きたくない」 「三成、」 「言うな、私も考えているのだ」 三成は心なしか、赤い。 互いに互いを意識しはじめていた。時節は白秋、気分は青春、そんな生活が続く。 心の中で、呟いてみる。たった二文字の言葉は、ほんのりと暖かい。次こそは、ちゃんと、伝えられたらいいのに。 -------------- DOGOD69 ← |