反逆者は月を奪う 徳川家康、絆の力で三成を、(省略) 「三成っ」 「うるさい、静かにできないのか、お前は」 「ワシと恋愛しろ!」 晴天の霹靂。一部始終を目撃してしまったた元親が、白い目で家康を見ていた。図書館前の、小さな悲劇だった。 三成は懺悔を繰り出した。きゃーっ。 清潔な白色に、薬品の臭いが染み込む病院。大谷の病室に、家康が飛び込んできた。最近、そこに、奇妙な絆が生まれつつあった。どうしてこうなった。愚問だ。三成のことに決まっている。 「いや、愉快よ」 話を聞いた大谷の声には、確かに悦が混じっていた。本人にとっては笑い事ではないのだ。家康の座りパイプ椅子が、ギシギシ鳴っていた。そろそろ取り替え時か。 「して、三成は」 「逃げた」 「であろうよ、趣深きな」 わかっていたなら、聞かないでほしい。話を切り出したのは家康であるけれど。 「さて、次はどうするのか、また聞かせに来よ」 「笑い話じゃないんだぞ」 「愉快愉快、あの三成がどう出るか、見物よの」 大谷はどこか幸せそうで、家康はもう何も言えなかった。 不思議と賑やかな病室に、入りづらくなってしまった青年が一人。 「家康、貴様……!」 三成は一輪の花を片手に、しばらく扉の前でそわそわしていた。花瓶の花を取り替えに来ただけなのだ。それなのに、タイミング悪く家康がいる。思い出すのは、キャンパス内でのあれ。しばらく無さそうなほど、衝撃的な告白。三成はらしくもなく頭を抱えるのだった。 (どうしたものか、ワシ!) (どうすればいい、私!) ------------ 星霜 中学生テンション ← |