合縁奇縁の綴り ――人の縁は、実におもしろいものだ 隙間から薄明かりの入り込む部屋で、政宗はふと思った。 早く目が覚めた彼は、隣で眠る幸村を起こさないように、そっと布団を出た。独眼竜を象徴する蒼色の着流しを楽に着て、煙管に手を伸ばした。煙管から紫煙がゆらゆらと浮かんだ。浮かんでは、消えていく―― 煙に決まった形も、動きもない。どんな形になって、どんな動きをするのか、言葉では言い表し難い。 「なぁ、幸村、アンタと俺の縁は、なんなんだろうな」 好敵手で、互いの存在に焦がれて、惹かれあって―― 「Ah...ぐだぐだ考えるなんざ、性にあわないね」 とにもかくにも、ただ言えることがある。 すやすやと夢の中の幸村は、戦場での覇気が無くて、年齢よりも幼く見えた。 ――縁とは二面性、それ以上の世界なんだ 襟足の長い鳶色の髪を掻き分けて、政宗は頬や額に唇を落とした。 ――まだ、起きないで ――今から言うことは、聞かないで ――ただの、独り言だから 「好きだ、真田幸村。どんな縁だろうが、アンタと繋がっていて、良かった」 ぴくり、と髪が揺れた。 「某も、貴殿を、慕っておりますれば……」 眠っているはずだった幸村が、きゅっと目を瞑って、政宗の袖を握った。不覚だった、と政宗はくしゃっと嬉しそうに笑った。 ------------ 幸せを探す者共 サルベージ ← |