今日もきみの面影を抱いている 3家康東軍勝利ルートエンディング後妄想 一応ねたばれ注意 西軍の大阪城にも勝るような城が築かれた。江戸城、徳川軍の新たな居城だ。常に人が行き来するこの場所は、絆を信念とする君主をあらわしているよう。 部屋に閉じ籠るのは趣味ではなくて、気がつくと、家康は庭にいた。 水が澄んだ池の中を、鮮やかな鯉が游いでいる。橋に寄り掛かって、何をするでもなく、鯉を眺めていた。 思い浮かぶのは、石田三成の顔だ。 「家康さん」 赤い袴の少女だ。城に来ていたらしい、鶴姫が家康を呼んだ。戸惑いがちに、彼の隣に立った。同じように、鯉を眺めた。 「巫殿、」 「はい」 「巫殿には、この今が、見えていたんだよな」 「……でも、家康さんのそんな顔は、見えていなかったんです」 みんな、本当に三成を憎んでいたわけではないのだ。それでも、こうなってしまった。過ぎた過去は変えられない。彼はもういない。その喪失感が、家康を蝕んでいた。まだ日が浅い。曇る彼の表情を、鶴姫は心配していた。どうにかできないものか、と。 「……三成さんは、まだ生きています」 鶴姫が、言った。家康が鯉から目を離す。 「家康さんが三成さんを忘れないかぎり、生きています」 自分よりもずっと小さな鶴姫が、今は大きく見えた。そうか、そうか。家康は笑えた気がした。笑える。らしくもない、難しく考えてしまったな。たしかに、家康の心には、まだ三成がいる。まだまだ消えそうにない。 「もう日が高いではないか。巫殿、飯にしよう。天ぷらが食べたいな」 座敷に戻る家康のあとを、鶴姫がちょこちょこと追った。 (実は海賊の受け売りなのですけれどね☆) 池の鯉がちゃぽんと跳ねた。 --------------- hmr 陰陽素敵。蒼紅とはまた違うキャラクターが素敵。 ← |