おまけ 小十佐の場合


(Part-1の続き)




「花火を買って参りました!」

買い物に出ていった幸村と小十郎が戻ってきた。そしてなぜか、佐助もいた。幸村の保護者として、連れてきたらしい。これで少し安心できる、と小十郎は思っていた。政宗も同じである。時刻はすでに四時を回っている。そろそろ涼しくなる頃合いである。それから少し雑談を楽しんで、小十郎と佐助が抜けた。台所にて、夕飯の支度である。その間も、賑やかな三友の喋り声は止まない。
「ねぇ、片倉さん」
「どうした」
人参や茄子を刻む。曰く、夕飯は夏野菜尽くしの、健康的和食である。
「あのさ、明日、暇だったりしない?」
「暇はない」
「そっか……」
それは残念だった。けらけら笑う佐助の声。気になって隣に目を向けた。案の定、佐助は笑っていなかった。小十郎は、困った。しまったな、と、誤ったな、と。
「何か、あるのか」
「ん、何でもないよ」
「言え」
包丁をまな板の上に置いて、小十郎は両手で佐助の頬を包んだ。じんわりと汗がにじむのが分かった。強制的に目線を合わせれて、珍しく、佐助が狼狽えた。あー、とか、うー、とか、困った声を発す佐助に、小十郎は再度、言え、と促した。ためらいがちに、佐助が口を開いた。
「よければ、涼みに、水族館でも、行きませんか、ね……?」
もちろん、二人で。涼みにいく、というのは建前(人の熱気もあるだろう)。単に、二人の時間がほしかっただけである。そんな佐助の意を、はたして小十郎は察してくれたのだろうか。何事もなかったように、調理が再開された。佐助はちょっぴり寂しい思いをしながらの作業になってしまった。
外がだいぶ暗くなってきて、夕食になった。佐助が膳を運んで、豪華な和食(どうしてもそう見えてしまう)の食卓に、慶次が喜んでいた。政宗も舌を巻くほどだ。小十郎と佐助の準備なら、ざっとこんなものである。ここに政宗が加われば、洋食が増えて、さらに華やかになるに違いない。和洋折衷である。
五人で食卓を囲む。この人数で飯を食べるのは、みんな久しぶりである。会話の種は尽きることなく、さらに盛り上がった。話役は主に慶次で、幸村が興味津々に聞いている。政宗は飯の美味に、心奪われた様子であった。なにぶん、食と粋にうるさい人であるから。
そんな賑やかななかでも、佐助は、どことなく浮かない顔をしていた。うつむきがちで、料理の味も、よくわかっていな。
「政宗様、ちょっとよろしいでしょうか」
それまでずっと黙っていた小十郎が口を開いた。話しかけられた政宗はもちろん、慶次や幸村までもが、話をやめてしまった。急にしんとなるが、小十郎はお構いなしである。
「明日一日、お暇をいただきたい」
その言葉に、思わず佐助が暗い顔をあげた。顔をあげると、小十郎と視線がかち合った。不意に、顔に熱が集まる。期待していいのだろうか、これは。不安も感じていると、膝に手をおかれた。佐助も手を伸ばすと、そっと握られて、佐助はまたうつむいた。熱い、熱い。その様子に、幸村を除いて、二人は察した。政宗は口笛を鳴らし、慶次は、恋だねぇ、と呟いた。
「俺は構わない。幸村、お前はどうなんだ」
「はい?」
「だから、佐助を、明日一日、遊ばせて、大丈夫なのか?」
「は、はい。え、佐助もなのか?」
見兼ねて、慶次が、幸村に教えた。耳元でこっそりと、小十郎と慶次のデートだ、と。しかし、丸聞こえである。佐助が、真っ赤な顔で慶次を睨んだ。逆効果だった。幸村は、だいぶ驚いたようだ。それでも、佐助が嬉しそうにしていたから、彼も嬉しくなった。
「熱いねぇ」
これこそ、夏である。
夏休みは「あつさ」に注意して、楽しんでお過ごしください♪
I wish you have a good time in summer. Sweet, Hot , happy and more!




-----------------

英語部分は適当・即興なので、おかしいですが、気にしない方向でお願いします。






人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -