Part-2 忍びずの場合 「かすがー、早くしないと置いてくぞー」 「うるさい、佐助!」 「…………」 かなり目立つ集団(派手な三人組)が、夜の神社に集まっていた。長い階段を上った先にあるのだ。ここは、花火を見るには絶好の場所だった。 慣れない浴衣に四苦八苦するかすがを余所に、佐助と小太郎はすたすたと歩いていく。とはいっても、二人ともかすがに合わせて歩いていた。もちろん、本人だってその事に気づいている。だからこそ、素直に感謝できなくて。 ほのかに明るく光った。ほんの少し遅れて聴こえてきた音。 「はじまった!」 たーまやー! 叫ぶ佐助の横で、小太郎はぱたぱたと扇子を扇いだ。かすがも空を見上げた。藍色の空に、色とりどりな花が咲いた。 「きれいだな……」 かすがの小さな呟き。花火の音に掻き消された。しかし、佐助も小太郎も、彼女を見て、これまた小さく笑った。 嘘なんかじゃなくて、本当にそう感じたのだ。 ← |