Part-1 主人公ずの場合




奥州にだって、夏は来ますよ。
「恋の季節がやって来たよ!」
「あぁ、そうだな、そうだよな」
熱く語る慶次には中途半端な返事をして、政宗は小十郎の用意した水桶に足をいれた。冷たくて、気持ちがいい。その後ろでは、顔を真っ赤にさせた幸村が、緩やかに団扇を扇いでいた。慶次がにやにや笑う。こいつ、わざとなのか。
「政宗様……、と真田と前田の風来坊」
「うん、俺らはついで、みたいだね」
小十郎はスイカを片手に作業着姿のままやって来た。あくまで政宗第一な姿勢に、慶次と幸村は苦笑した。らしいと言えば、らしい。
Hey,小十郎
政宗が促す。よく育ったスイカは、きれいに四つに割れた。身は赤く、種も多い。三人の知らないうちに、小十郎は小さく笑っていた。
スイカは何もかけずに、そのまま味わった。うまかった。夏の風物詩だよな、これ。
「じゃあ、夜は花火かな」
「Good idea!」
「では、某が買ってきましょう」
立ち上がる幸村に、仕方がない、と小十郎も同行した。残された二人は、風鈴の音を聞きながら、青い空を眺めていた。
すがすがしい夏だな。







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