秒針がゆるやか水曜日



時が進むのを、ついつい忘れてしまいそうになっていた。まだニ、三日しか経っていないというのに、半兵衛にとって、慶次の隣が居心地のよいものになりつつあった。落ち着ける理由は、慶次のあの態度のせいであると思う。意外にも、彼は、境界線を守るのだ。必要以上に踏み込んできたりはしない。それが、そのうち、満たされなくなってくるのだろうか。
難しいことはさておいて、ただいま、二人は図書館にいた。勉強中である。しかし、半兵衛は英語の難しいタイトルであるのに対し、慶次はファッション雑誌や情報誌の類いを読んでいた。そんなだらだらした時間が続いて、いつの間にか、半兵衛は静かに寝ていた。慶次の肩に、頭が乗っていた。すやすやという寝息が、どうにも可愛らしい。個室を使用していてよかった、誰にも邪魔されずに済みそうだ。起こしてしまわぬように、身動きはしない。慶次も、寝てしまおうか、と思った。しばらく、携帯電話の電源も切っておこう。壁に掛けられたアナログ時計をちらりと見やった。ちょっと、時間を忘れさせてもらうよ。目を閉じた慶次、穏やかな半兵衛の顔に浮かんだ笑みを、見ることは叶わなかった。読みかけの本は、そのまま開きっぱなしだ。

「なぁ、幸村」
「某は、起こしては申し訳ないかと、思うのでござる」
「……だな」
小さな窓の向こうに、偶然通りかかった政宗と幸村がいた。仲睦まじきことは、良きことかな。
図書館が閉まるまで、あと一時間と十三分。









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