2.濃姫と芹
芹「濃姫様、濃姫様はいらっしゃいませんか!」
濃姫「なんじゃ、騒がしい。廊下は静かに歩くものぞ」
芹「申し訳ありません。しかし、一大事にございます」
濃「ほう、言うてみよ」
芹「明智光秀殿、本能寺にて無謀、と」
濃「そうか、ついにか……」
芹「ついに? もしや、濃姫様は、このような事態になると、お気づきになられておられたのでございますか」
濃「気づくも何もあるか。芹よ、そなたは、殿の光秀への仕打ちの数々、見たことがないのか」
芹「あ……」
濃「蘭丸が光秀を叩く姿、何度見てきたことか。わらわはそんな光秀に、幾度となく同情したわ」
芹「…………」
濃「殿も光秀も、もういないと思え。女子供に、逃げる準備をすると伝えよ。指揮はわらわが取ろうぞ!」
芹「承ってございまする……!」
(芹、城を駆け回る)
(多側室、女妾、子供一同、準備開始)
濃「ほんと、やんなっちゃうよねぇ」
芹「!?」
濃「こちとら戻る家もねぇのによォ、どうしてくれんだ」
(だって、実家、潰えちゃったから)
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あくまでフィクションです。
100724追記。
濃姫の死期について、嫡男・信忠の生まれるより前、という説があります。ちなみにここでは、本能寺の変まで生きていて、奥をまとめて避難させた、という一説(?)をもとにしています。
最新の有力説は私も把握できていません。もし興味があるのでしたら、濃姫について、自分で調べ、考察してみてください。ここらへんの美濃や尾張は謎も多く、なかなかロマンに満ち溢れていると思うのです。
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