bsr
悩み多き恋心

(2010/10/18)

(家三現代連作、「これ以上何も要らない」続き、慶半?要素有り)




夜、家康はこっそり部屋を抜け出して、慶次の部屋を訪れた。昼間の喜びを慶次に話すと、残念がった顔をされてしまった。何でも、あれは押しのタイミングだったらしい。そんなこと、家康がわかるはずもなかった。
「家康、頑張れよ」
「慶次こそ、どうなんだよ」
「え、俺のは秘密に決まってるじゃん」
「それはずるいぞ」
夜であることを忘れて、慶次は豪快に笑う。一人だけ恋路をさらされているようで、家康はすねているのかもしれない。アルミ缶のオレンジジュースを一気に飲んだ。とたん、むせる。そんな家康の背をさすってやりながら、慶次はある人を思い浮かべていた。しばしば、あいつにもこうしている。会いたくなってしまって、困る。
「はやく、報われたい」
「家康にしては珍しい。ほら、焦っちゃいけないよ」
「うー」
なに、酔ってんの? アルコールは入っていないはずだよ。
きっと疲れているのだろう。仕方ないな、と慶次は家康を停めることにした。夜はあっという間に過ぎてしまう。

アップルパイは美味しかった。来年は、三成の手作り菓子が食べられるようにしようと思う。夢の中で家康ガッツポーズをしていた。
三成が料理をできるかどうかは、この際問題ではない。絆が、愛が大事なのだ。

ぶるっ
「三成、風邪でもひいたかい」
「いえ、なんでもありません……」
なぜだ。明日、キャンパスへ行くのが憂鬱だ。





--------------

カタリグサ




|

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -