一次創作
あの時間はどんな言葉で語っても語り尽くせないほどの理想、幸せな現実だった

(2010/08/22)

(三成と初芽)





関ヶ原から抜け出せたとしても、敗けの身から逃げることはきっとできない。隠れ続けることは、俺には不可能だった。隣で、初芽がうつむいた。
「なくな」
その一言だけ。他に何を言うこともできなかったから。下手な慰めは、初芽の傷を余計に抉るだけだとわかっているから。我ながら不器用だと思った。言葉を選べない自分が、恨めしい。
「ごめんなさい、ごめんなさい、三成様……!」
不甲斐なさに泣く彼女の頬が濡れていく。その涙を拭ってやりたかったが、体はもう動かないのだ。
「石田、治部殿と、お見受けいたす」
数人の追捕士が、じっと二人を見ている。ぐしゃぐしゃの顔でキッと睨み付けて、初芽が武器を構えている。彼女だってもう戦えない。体は傷だらけだ。
「……もう、いい」
「三成様……っ」
「もう、楽になれ、蓮」
初芽が、いっそう辛い顔をしたのだ。俺はこの顔を忘れない。
最後の力で武士に突っ込む初芽の体が、一閃された。ぴくりとも動かなかった。
「首は、取らないでやってくれ」
美しい女だから。ごめんな、蓮。だから、もう、普通に生きろ。

三成様が生きろと言ったから、それが最後の命令だったから、私はここにいます。たとえあの方が愚者と罵られようとも、私は、私たちは、あの方を敬うでしょう。ずっと、ずっと。
「三成様、蓮は今日も、生きておりますれば」




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石田三成と初芽局は、私の創作歴史の主人公。

確かに恋だった

蓮ちゃんの必殺技、仮死状態。



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