無双
私は子守り趙雲が好きです。

(2010/08/10)

ばちょちょ
あらんかぎりの趣味を詰めてみた。





「俺も幼子になりたい」
「馬鹿なこと言ってないで、働いてください」

阿斗様の教育に悪いので、と付け足した。
現在進行形で、趙雲は劉備の嫡子・阿斗の子守りをしていた。戦場とはうってかわって優しい表情の彼に、馬超はもやもやとした感情が沸き上がってきた。正直、あまりおもしろくないのだ。以前も同じようなことがあって、馬岱に打ち明けたら、大人げない、と一蹴された。言い返せない。

「趙雲殿に、なついておられるのだな」
「そうみたいです。複雑な気分ではあるけれど、やっぱり、嬉しい、かな……」

構ってほしいなぁ、俺も構ってほしいなぁ、阿斗様みたいに。
そんなことを考えながら、半日が過ぎていくのだ。



「――と、いうわけだ。どうしたらこっちを向いてくれるか、教えてくだされ、軍師殿」
「自身でお考えください」

そんなのろけ話になりかねないものを、私に持ちかけないでいただきたい。そこまでは言えないが、諸葛亮は目で訴えてみた。まぁ、この御仁が気づくはずもないとはわかりつつ。

「そんな器の小さいことをおっしゃらずに……」
「まさか阿斗様に嫉妬しているような方にそんなこと言われなくありません」

声が冷たい。気に障ってしまったようだ。まぁ、馬超は気にしてないようだけれど。
せがむ馬超の肩を、誰かがつかんだ。もちろん、趙雲であった。

「……なぜあなたは諸葛亮殿に迷惑かけているのですか」

子守りを終えたらしい彼は、軽装で、手ぶらである。
諸葛亮に礼をすると、馬超の腕を引っ張りながら部屋を出ていた。
少し離れて彼らを見ていた月英は、仲睦まじいようで、と笑った。諸葛亮も同意した。

「孔明様も大変ですね」
「そう言ってくれるのも、あなたくらいで」



丞相府を後にして、とりあえず、二人は趙雲の屋敷にいた。呆れ顔の趙雲は、すねているらしい馬超に困っていた。

「趙雲殿は、俺のものだ」
「あなたは馬鹿ですか。まず落ち着きなさい」

馬超は押し黙る。沈黙が続いた。なにやらいたたまれない。しばらくして、趙雲のため息が聞こえた。

「どうしたら、」
「趙雲殿……」
「どうしたら、機嫌を直してくれますか」

そこで、はたと気づいた。やっと気づいた。どうやら自分は、趙雲を困らせていたらしい。ここまで来ないと気づかないのは、馬超の性格である。致し方ない、と言うべきか。
急に、趙雲に対して悪い気がしてきた。遅い。顔を曇らせたままの趙雲を前に、馬超はあたふたし始めた。どうしよう、どうしよう。
それを見て、くすりと笑いがこぼれた。趙雲である。馬超の背に手を回して、そっと抱き締める。さらに背を軽く叩けば、さながら阿斗と同じ扱いであった。

「あなたも馬鹿な人ですね素直で、いいとは思いますけれど」
「……趙雲殿、眠い」
「はいはい、おやすみなさい」




(結局は仲良しです)


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・子守り趙雲
・まっすぐ過ぎる馬超
・苦労性孔明
・お姉さん月英
・あたふたする馬超
・やっぱり年上な趙雲
・年下×年上

正義! な馬超と、実はまだ酒に酔う趙雲
はさすがに入らない

というわけで、ここのスタンダードばちょちょをば。




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